あえて「物足りない味」を狙った?

 近年は、本場タイの工場で生産したインスタントのトム・ヤム・クンや、現地の味付けを忠実に再現したアジア料理の缶詰がブームになっている。そんななか、なぜセブン-イレブンは“本格的な”味付けを目指さなかったのか。

「タイ料理が苦手な人が食べられない商品にしてはいけないと思った」と三好氏は説明する。

 セブン-イレブンとしても、近年の本格的なインスタントのアジア料理ブームや飲食店の味を意識しなかったわけではない。しかし、全国に1万8000店舗以上を構える同社が一斉に行うフェアとしては、日本人の誰もが食べておいしいと感じられる商品にしたかったという。トム・ヤム・クンにはパクチー、ココナッツミルクだけでなく、八角やレモングラスなど本場のスパイスはひと通り使用しているが、量は控えめにしているそうだ。「タイ料理やアジア料理を敬遠していた層にも『セブン-イレブンの商品だったら』と手を伸ばしてもらえる可能性を考えている」(三好氏)。

 サラダ、デザートも同様に、初めてアジア料理を食べる人を狙っている。そのため、全体的にオーソドックスで癖のない味付けとなっている。来年以降、アジアンフェアが定着すればシンガポールのラクサやグリーンカレーなどの“トガッた”メニューがチルド弁当で登場するかもしれない。

「タイ風春雨サラダ(ピリ辛仕立て)」(320円)。7月12日以降、新潟県と富山県を除く全国で順次発売予定。唐辛子の辛みとレモン果汁の酸味は感じられるが、しょうゆとごま油が隠し味に使われているせいか、やや和風
「タイ風春雨サラダ(ピリ辛仕立て)」(320円)。7月12日以降、新潟県と富山県を除く全国で順次発売予定。唐辛子の辛みとレモン果汁の酸味は感じられるが、しょうゆとごま油が隠し味に使われているせいか、やや和風
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「銀座デリー監修 タンドリーチキン風サラダ」(398円)。7月12日以降、全国で順次発売予定。ニンニクを使ったドレッシングを食べる直前にかける。フレンチドレッシングの風味が強く、アジア感は薄い
「銀座デリー監修 タンドリーチキン風サラダ」(398円)。7月12日以降、全国で順次発売予定。ニンニクを使ったドレッシングを食べる直前にかける。フレンチドレッシングの風味が強く、アジア感は薄い
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チルドデザートは全部で4種類。発売時期は商品によって異なる。写真右上の「ひんやり爽やかマンゴープリン」(210円)は、ケーキ店で売られていても遜色ない仕上がりで、今フェアの中で一番本格的な味だった
チルドデザートは全部で4種類。発売時期は商品によって異なる。写真右上の「ひんやり爽やかマンゴープリン」(210円)は、ケーキ店で売られていても遜色ない仕上がりで、今フェアの中で一番本格的な味だった
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(文/樋口可奈子)