意外と多い日本人女性客

 ハナ タジマ フォー ユニクロの今秋冬コレクションは、全33型109色柄をラインアップ。「女性の体の形や動き、着たときの気持ちを大切にしている」というタジマ氏は、ユニクロのコンセプトである「ライフウエア」を「モデストウエア(控えめな服)」と解釈し、シンプルでエレガントな洋服を提案している。

 全体的に着心地の良さそうな、ゆったりしたシルエットや長めの丈が多いのは、体のラインを出さないムスリムファッションの大きな特徴のひとつ。「ムスリムでは、アウラ=女性の美しい部分を覆っているのが基本。手首と手足以外を覆っていること、透けていないことのほか、動物柄が入っていないなどの条件もある」(日本ムスリムファッション協会)という。

 ヒジャブやカバヤのほか、バジュクロンという伝統衣装の長めのブラウスを展開。ほかにも、動きを妨げないように深めのスリットを入れたり、重ね着風にしたり、ひもを使って着こなしの幅を広げたりしたデザインが多い。肌や体のラインの露出を抑えるというムスリムの基本を守りながらも、機能性とファッション性を兼ね備えているのが特徴だ。素材には、レーヨンやテンセルといった柔らかくてとろみのある素材を使用し、女性らしさを表現。色は「陶芸家の両親の影響で、陶芸のカラーパレットから取り入れることが多い」(タジマ氏)という。

 ユニクロ銀座店では、同ラインを5階のウイメンズフロアで展開。6月30日の発売日に売り場を訪れて感じたのは、意外なことに日本人女性の関心度が高いことだ。売り場には、コレクションのロゴパネルが掲げられてはいるものの、とくにムスリムファッションとはうたっていない。ただ、ユニクロの既存の商品とは異なり、エスニック色の強いコレクションだということは一見して分かる。そのせいか、普段から民俗調ファッションを好みそうな日本人女性が、ジャケットやブラウスなどを試着する姿が多く見られた。年齢的には中高年女性が目立ったが、エスニック好きの若い世代にも受けそう。

 また、パンツはイージーパンツやポンチ素材のパンツなど、ラクに履けて普段着ているトップスにも合わせやすいデザインがそろっている。売り場で人気があったのは、綿100%の薄いデニム素材を使った「イージーアンクルパンツ」(2900円)。大きなスリットポケットがついた古着感覚のジーパンで、ややハイウエストのすっきりしたデザインは若い世代にも好評という。トレンドのワイドパンツのシルエットなので、ノーカラーのコンパクトなブラウスなどを合わせれば、今風の着こなしを楽しめる。

 さらにヒジャブも、本来はムスリムではヘッドバンドのようなものを1枚かぶってから頭に巻くが、日本人の場合なら普通のストールとして使えばいい。さすがに暑い季節に巻いて外出することはできないが、冷房対策にはもってこいだ。

 ただ、2016年秋冬コレクションと打ち出しているように、高温多湿の日本の夏に着られそうなアイテムは数少ない。また、シーズン前に先物買いをすることがステイタスだった昔とは異なり、いまの日本人はジャストシーズンのものしか購入しない傾向が強い。そう考えると、今コレクションはやはりムスリムをターゲットにしているのだろう。加えて、おしゃれなコンフォートウエアとはいえ、あえてムスリムファッションを選ぶ日本人客は限られるはず。取扱店舗も、銀座、新宿、心斎橋といった訪日外国人客の比率が高い店に絞り込んでいる。

 在留ムスリムとインバウンドが第一のターゲットだが、あわよくばエスニック好きの日本人客を取り込めれば上々、というのが本音ではないだろうか。

写真真ん中がデザイナーのハナ・タジマ氏。陶芸家の両親を持つイギリス人と日本人のハーフ。18歳のときに改宗。同コレクションはユニクロ銀座店、ビックロ ユニクロ新宿東口店、ユニクロ吉祥寺店、ユニクロ心斎橋店とユニクロオンラインストアで販売
写真真ん中がデザイナーのハナ・タジマ氏。陶芸家の両親を持つイギリス人と日本人のハーフ。18歳のときに改宗。同コレクションはユニクロ銀座店、ビックロ ユニクロ新宿東口店、ユニクロ吉祥寺店、ユニクロ心斎橋店とユニクロオンラインストアで販売
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陶芸作品からインスピレーションを得たというオリジナルプリントの「バシュクロン」(3990円)と「レーヨンロングスカート」(2990円)。ロングカーディガンのようなカバヤはいろんな着こなしを楽しめる
陶芸作品からインスピレーションを得たというオリジナルプリントの「バシュクロン」(3990円)と「レーヨンロングスカート」(2990円)。ロングカーディガンのようなカバヤはいろんな着こなしを楽しめる
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オンタイムにも対応できる「ラップショートジャケット」(4990円)はベルトでウエストを絞ってもいいし、前を開けたままでもフェミニンな印象。「テンセルアンクルパンツ」(3990円)、リブの「ハイネックTシャツ」(1990円)
オンタイムにも対応できる「ラップショートジャケット」(4990円)はベルトでウエストを絞ってもいいし、前を開けたままでもフェミニンな印象。「テンセルアンクルパンツ」(3990円)、リブの「ハイネックTシャツ」(1990円)
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繊細な手描きの柄が個性的なフェミニンなレーヨンのワンピース(4990円)、同素材のスカート2990円
繊細な手描きの柄が個性的なフェミニンなレーヨンのワンピース(4990円)、同素材のスカート2990円
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流れるような質感のテンセル素材を使った「ロングワンピース」(4990円)、グラデーション染めの「ヒジャブ」(1990円)
流れるような質感のテンセル素材を使った「ロングワンピース」(4990円)、グラデーション染めの「ヒジャブ」(1990円)
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(文/橋長初代)