ムスリム人口が世界で急増

 イスラム教の信者であるムスリムは、現在、世界に約16億人いるといわれている。全世界の人口の4分の1を占め、そのうち10億人がアジアに居住。最も多いのがインドネシアで2億2600万人、続いてパキスタン、インド、バングラデシュに1億数千人、ユニクロの店舗がある中国、マレーシア、フィリピンにも小さくない市場が存在する。「ムスリム人口は2030年に全世界の30%に達するとの見方もあり、巨大市場であることは明白だ」(日本ムスリムファッション協会)。

 なかでも、昨今、世界から注目を浴びているのがムスリムファッション。トムソン・ロイターの調査によると、2013年にイスラム教徒が服と靴に使った金額は2660億ドル(約27兆2697億円)にも上るという。2015年、H&Mの広告にヒジャブを被ったモデルが登場したほか、2016年に入ってからも「ドルチェ&ガッバーナ」が、ヒジャブなどのコレクションを発売。ファストファッションだけでなく、欧米のラグジュアリーブランドも、巨大市場に熱い視線を向ける。

 一方、日本国内のムスリムは全人口のわずか0.1%に過ぎないが、増加傾向にあるという。さらに、ビザ要件の緩和やLCCの就航、円安などが後押しし、ムスリムの訪日観光客が急増。日本ムスリムファッション協会によると「ムスリム向けビジネスに対する関心は高く、昨年から非常に多くの問い合わせがある。国内市場が景気低迷するなか、ビッグマーケットであるムスリム市場に参入したいアパレルメーカーは増えている」。

 そんななか、5、6年前から東南アジアの市場開拓を進めてきたユニクロにとっては、世界的に拡大しつつあるムスリムファッションを取り入れることは当然のなりゆきだったといえる。まだ市場規模の小さい日本では在留ムスリムとインバウンドが主なターゲットとなるが、デザイナーのハナ・タジマ氏は「ノームスリムも含め、さまざまなバッググラウンドを持つ全ての女性に着てほしい」と話す。欧米での売れ行きに手応えを感じた勝田氏も、「限られた国の人だけでなく、デイリーウエアとして日本の消費者にも受けるはず」といい、日本での展開に意欲を見せる。

ムスリムファッションは肌や体のラインが出ないようなデザインが特徴。今コレクションでは、ムスリム女性のみならず、日本人女性がデイリーに着こなせるようなゆったりとしたシルエットでシンプルなアイテムがそろう
ムスリムファッションは肌や体のラインが出ないようなデザインが特徴。今コレクションでは、ムスリム女性のみならず、日本人女性がデイリーに着こなせるようなゆったりとしたシルエットでシンプルなアイテムがそろう
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