高まるひとり旅人気で、性別、年齢別も開始

 「最近、ひとり旅の人気はますます高まっている」と渡邊さん。特徴は、参加者の7割が女性であること、年齢層が高いことだ。同社の一般的なツアーは60代が中心だが、ひとり旅は70代、80代の割合も高い。生活がひと段落して自分の時間を楽しみたい人、一緒に旅をしていた友人やパートナーを亡くした人、主要な観光地はほぼ回り、より自分の趣味を突き詰めた旅をしたい人など、1人を選ぶ理由は様々だが、「自分の好きなタイミングで旅に出られる。観光や食事は集団だが、ホテルの部屋は1人ずつだし、旅が終われば解散するつかず離れずの関係。この気楽さがいいのでは」と渡邊さんは分析する。

 1人参加限定を徹底するクラブツーリズムの姿勢も人気の理由かもしれない。申し込み時点で参加者同士が知り合いだと分かると、キャンセルや別々の日付での申し込み、一般のツアーへの参加をお願いする。「ツアー参加の履歴などを見ると、案外分かるものなんです」(河内さん)。

 一方で、参加者同士がなじみやすくする工夫も施してきた。その例が、性別限定や世代限定のツアーだ。「どんな人が参加するのか分かっていたほうが安心」という参加者の意見を受けて始めた。歩くペースや関心事が近いせいか、話が弾みやすく、一体感も生まれやすいのだという。

 特に興味深いのは、2016年4月から始めた世代限定ツアー。20~30代、40~50代、60代、70代と、年代別に参加者を募集する。前述の通り、ひとり旅の参加者は7割が女性だが、世代限定にすると、参加者の半分が男性になることもあるという。「男性は枠を用意したほうが、参加しやすいみたい」(渡邊さん)。また、通常のひとり旅の参加者よりも年齢層が低い20~30代、40~50代対象のツアーも予想以上に人気だという。

 渡邊さんは、「ほかの旅行会社とは違い、クラブツーリズムでは添乗員がツアー申し込みの電話も受けるし、ツアーの企画もする。その分、参加者の要望をツアーに反映しやすい」と話す。集合場所確認ツアーも、参加者の人気を受けて1泊2日プランを追加した。旅行代金は2万9900円。「1泊2日、3万円近くかけて集合場所めぐり?」と記者は驚いてしまったが、「いつかひとり旅で海外に行くときのために、成田空港を見たい」という声があるのだという。そのため、1日目は羽田空港の集合場所を訪れ、夜は千葉・館山温泉の海辺のホテルに宿泊。2日目は成田空港と東京駅の集合場所を回るプランを企画した。

 また、「宿泊があるほうが、ひとり旅の醍醐味を体験してもらえる」(渡邊さん)。本番のひとり旅同様、ホテルでの宿泊は1人1室、バスはひとり旅の中でも一部の高額なツアーで採用している1人2席利用だ。「その分、旅行代金は高くなるが、一度体験するとやみつきになる快適さ」(河内さん)。すでに参加者は集まり始めているそうだ。

 クラブツーリズムのひとり旅では、参加者の不安や要望を細かく拾い上げて少人数のツアー企画につなげ、シニアはもちろんより広い年齢層まで顧客を広げていた。

クラブツーリズムテーマ旅行部国内コミュニティ旅行センター(ひとり旅・ひとりの贅沢担当)の渡邊輝人リーダーと河内良太さん。河内さんは集合場所確認ツアーの全日程の添乗員を務めている
クラブツーリズムテーマ旅行部国内コミュニティ旅行センター(ひとり旅・ひとりの贅沢担当)の渡邊輝人リーダーと河内良太さん。河内さんは集合場所確認ツアーの全日程の添乗員を務めている
[画像のクリックで拡大表示]

(文/平野亜矢=日経トレンディネット)