原付バイクはずっと50ccのまま
たとえば四輪の軽自動車。多くの人に受け入れられたのは排気量360ccの時代だった。「スバル 360」(1958年発売)や「ホンダ N360」(1967年発売)などが爆発的にヒットし、多くの人がクルマの便利さや楽しさを学んでいった。しかし1970年代、マスキー法をきっかけに排気ガス規制がやってくると、360ccでは対応できないということで、排気量550ccにアップする。その後、安全性の確保などの理由から660ccまで大きくなった。そして今も軽自動車は日本中を駆け回り、産業を根本から支える重要なクルマとなっている。
対して原付バイクは、戦後すぐのころからずっと50ccのままだ。初期には50ccでは馬力が足りないともいわれたが、ホンダのスーパーカブによって50ccでも十分実用になることが証明され、原付は利便性の高いのりものとして認知されていった。こうした歴史を顧みると、二輪メーカーは頑張ってきたと思う。わずか卵1個分程度の排気量しかないエンジンで、繰り返しやってくる排出ガス規制の波を乗り越えてきたのだから。
しかし、そうした努力がもう限界にきているということなのだ。
もし過去の規制に対して、「原付は排出ガス対策のために70ccにアップする」「90ccまでを原付とする」といった方策が採られていたら、原付バイクは現在とはまた違ったのりものに進化していたのかもしれない。