3度目となる厳しい二輪の排出ガス規制

 二輪車の本格的な排出ガス規制が始まったのは1998~1999年のこと。問題になったのはベンゼンだ。発がん性があるといわれるベンゼンは、2スト(ストローク)エンジンから多く排出される。これを機にハイパワーで隆盛を誇った2スト・スポーツモデルが一斉に姿を消した。

 一方、4ストモデルが大きく影響を受けたのは、2006~2007年に施行された「平成18年規制」(関連記事「二輪の生産終了が止まらない~排出ガス規制・騒音規制の影響」)だ。HC(炭化水素)などの85%低減が求められる非常に厳しい内容で、モンキーのような小型のエンジンでも対応するためにキャブレターをインジェクション(燃料噴射)に置き換えることを余儀なくされた。もちろん排出ガスをきれいにするのは触媒だが、それを正しく働かせるためにインジェクションによる正確な燃焼が必要になった結果、キャブレターが姿を消したのだ。

 今回の平成28年規制は「第3次規制」とも呼ばれる3回目の大きな規制であり、主な内容は一酸化炭素(CO)は1.14g/km、炭化水素(HC)は0.03~0.17g/km、窒素酸化物(NOx)は0.07~0.09g/km(WMTCモード※後述)以下というもの。これは排出物を従来のおよそ半分に減らしなさいという意味になる。

 これに対し、「クリアできなくはありませんが、かなり厳しい規制だと言えます。古い設計のエンジンでは燃焼を緻密にコントロールできないものもありますから、再設計なども必要になります」(ホンダ 広報担当)

 つまり、規制への対応を検討した結果、再設計のコストに見合わないと判断されたモデルは、姿を消すことになるわけだ。

米国ホンダで作られ、輸入されている大型ツーリングモデルの「ゴールドウイング」。長く作られてきたが、生産終了がアナウンスされている
米国ホンダで作られ、輸入されている大型ツーリングモデルの「ゴールドウイング」。長く作られてきたが、生産終了がアナウンスされている
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 ネイキッドモデルとして人気の高かったヤマハの「XJR1300」。空冷エンジンのまま「平成18年規制」をクリアしていたが、これも生産終了となる
ネイキッドモデルとして人気の高かったヤマハの「XJR1300」。空冷エンジンのまま「平成18年規制」をクリアしていたが、これも生産終了となる
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