健康トレンドの発信源として、見過ごせない米国のヘルシーフード事情。例えば最近では、「ヘルシースナッキング」と呼ばれる食習慣が日本でも広まりつつある。これは、ナッツ類やドライフルーツといった健康的な菓子で積極的に「間食」を取り、極端な空腹状態をつくらないようにしつつ、血糖値の上昇を緩やかにする食事の考え方で、ダイエット目的で取り入れる人が多い。日本でも森永製菓がきなこ味のチョコレートや、ビスケット、グミなどを「ヘルシースナッキング」シリーズとして売り出している他、ローソンやファミリーマートなどのコンビニでも、ナッツ類などの品ぞろえを強化して、ヘルシースナッキングコーナーを展開している。

 そんななか、米国では今、ヘルシースナッキング関連で新たな商品が注目されている。より健康的な「生鮮スナック」と、高タンパク質の「ミートスナック」だ。この他、米国のシリコンバレーのエンジニアを中心に話題を呼んでいる「スマートサプリ」、アレルギーを持つ子供の親が熱烈に支持する「“完全”アレルゲンフリー菓子」、そしてオーガニック食品を一段進化させた「バイオダイナミックフード」といった、米国発の先端ヘルシーフードの世界を紹介したい。日本でも今後、販売が拡大しそうなものばかりだ。

“先端ヘルシーフード5選”
■【1】生鮮スナック
■【2】ミートスナック
■【3】スマートサプリ
■【4】“完全”アレルゲンフリー菓子
■【5】バイオダイナミックフード

【1】生鮮スナック

ナチュラルローソンが販売する予定の「スイートベビーキャロット」
ナチュラルローソンが販売する予定の「スイートベビーキャロット」
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 より健康的な間食を求めて行き着いたのが、「生鮮スナック」。要は小形にカットされたニンジンなどの野菜をスナック代わりに食べるということなのだが、これが近年、米国のスーパーなどで大幅に棚を拡大している。この動きを見て、昨年ナチュラルローソンは丸紅食料と組んでオーガニックの「スイートベビーキャロット」をディップ付きでテスト販売。すると、「想定を大きく上回る売れ行きで、7月から全店展開することを決めた」(ローソン)という。1本5㎝ほどのニンジンはそのままポリポリ食べても甘く、みずみずしい。野菜を乾燥させた「野菜スナック」より食べやすく、ディップを付ければお酒のつまみにもなりそうだ。究極の“ナチュラル菓子”として、日本でも定番商品に育つかもしれない。

【2】ミートスナック

米国のスーパーではスナック売り場にさまざまなジャーキーが並ぶ
米国のスーパーではスナック売り場にさまざまなジャーキーが並ぶ
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 米国ではこの5年でビーフジャーキーなどの「ミートスナック」の消費が18%も上昇しているという。プロテイン含有量が多く、チョコレートやキャンディー、ビスケットといった従来のスナックよりもヘルシーというのが大きな理由だ。

 近年、大手スナックメーカーのハーシーズが買収した米クレイヴジャーキー社は、ナチュラルなミートを使用。グルテンフリーで、ローファット、亜硝酸塩など化学調味料は使わず、加工も最低限にとどめているのが特徴。クレイグジャーキー社の担当者は、「従来からあるフィットネスバーなどは化学合成物が含まれているものもあり、ナチュラルではない。当社は、低脂肪、高プロテインのジャーキーを、チリ・ライム、レモン・ガーリック、スウィート・チポトレ、ブラックチェリーBBQなど、肉料理を彷彿とさせるような本格的なフレーバーで提供している」と話す。甘めの味から、ピリッとした香り高いスパイシーな味まであり、通常のジャーキーよりも軟らかくて食べやすいので、スナック愛好者や、ヘルスコンシャスな人に売れている。

 同社は新製品として、プロテインにドライフルーツとキヌアを加えた「クレイヴ・バー」や、豆類やハーブ、スウィートポテトを加えた「クレイヴ・スティック」の展開も始めた。日本でも、健康菓子としてジャーキー類が脚光を浴びる日は近そうだ。

米クレイヴジャーキー社のジャーキー
米クレイヴジャーキー社のジャーキー
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クレイヴジャーキー社の新作「クレイヴ・バー」
クレイヴジャーキー社の新作「クレイヴ・バー」
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【3】スマートサプリ

日本のイーネが展開するスマートサプリシリーズ
日本のイーネが展開するスマートサプリシリーズ
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 米国のシリコンバレーのエンジニアなどを中心に注目を集めているサプリメント「ヌートロピック」は、記憶や創造性、生産性を高めたいなど、職場での気分に合わせて必要成分を配合したものだ。糖分の多いエナジードリンクで気分を“上げる”より健康的で、多目的に使えるとして人気を博す。

 このイメージを取り入れた「スマートサプリ」を日本で展開し始めたのは、ナチュラル系シャンプーの「ボタニスト」などを展開するイーネ。サプリブランドの「SEEDS&SUPPLY」から「MORE SMART SERIES」の4品(FOCUS、CALM、INPUT、THINK‐UP)をネット通販で展開している(税込み3950~4600円)。

 例えば、FOCUS(フォーカス)は、「毎日忙しく働くヒトのここぞという瞬間を助けるサプリメント」とし、インドの伝統医学であるアーユルヴェーダに伝わるハーブ「バコパ」や、南米アマゾン原産の植物でカフェインを含む「ガラナ」、元気の維持に欠かせないビタミンB群を配合する。また、INPUT(インプット)は“冴え”と“定着”にアプローチするとされる「フェルラ酸」を100mg(4粒当たり)、伝達の流れをスムーズにすると言われる「α-GPC(グリセロホスホコリン)」、「イチョウ葉抽出物」、 “頭の栄養素”とも呼ばれる「ホスファチジルセリン」などを含む。こうした働く人の気分にアプローチするうたい文句は、サプリとしては斬新。今後、追随商品が多く出てきそうだ。

【4】“完全”アレルゲンフリー菓子

アレルゲンフリーを売りにする米国の菓子。店頭でも多くの棚を占めつつある
アレルゲンフリーを売りにする米国の菓子。店頭でも多くの棚を占めつつある
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“健康間食”がトレンド! 先端ヘルシーフード5選(画像)
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 米国などの先進国は発展途上国と比べて清潔な環境で育った子供たちが多いため、免疫システムが適切に発達しておらず、アレルギー持ちの子供たちが多いという。米国ではアレルギー持ちは1500万人おり、うち18歳以下の子供の場合、13人に1人がアレルギーを持っているといわれる。

 そこで近年、市場が拡大しているのが、主な8つのアレルゲン(ピーナッツ、ナッツツリー、小麦、大豆、ミルク、卵、ゴマ、魚介)を含まない“完全”アレルゲンフリーの菓子だ。代表する米リバーサイド・ナチュラル・フーズ社は、従業員がランチを食べる際などにナッツ類やミルク、卵を工場内に持ち込むことも厳禁という徹底したアレルゲンフリーの環境で商品を製造している。

 現在、アップルシナモン、チョコレートバナナ、チョコレートチップ、ミックスベリーといった4種のグラノラバーと、グラノラ・ミニボールなどを販売。オールアレルゲンフリーだけではなく、ローシュガーで、おいしいところも人気の秘密だ。実際に食べてみると、確かに、通常のグラノラバーより甘みは少なく、ミックスされている食材の味もしっかり感じることができる。すでに日本では、成城石井などで販売されているが、間もなく大手コンビニでも販売が始まる予定。「米国では、アレルギー持ちの子供を持つ親の間でクチコミで広がり、全シリーズをまとめ買いする人もいる」(米リバーサイド・ナチュラル・フーズ社)というほどの人気ぶりで、日本でも悩める子供の“救世主”になり得る存在だろう。

【5】バイオダイナミックフード

バイオダイナミックの認定農場のイメージと、認定マーク
バイオダイナミックの認定農場のイメージと、認定マーク
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シリアルやスプレッドなど、バイオダイナミック認定商品が続々と増えている
シリアルやスプレッドなど、バイオダイナミック認定商品が続々と増えている
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 ヘルスコンシャスな米国人の間で一躍注目を集めているトレンドワードが「バイオダイナミックフード」。オーガニックの基準より厳しい農法で育てられた食物のことを指し、バイオダイナミックの認定商品が次々に市場に投入されている。

 例えば、従来のオーガニックの場合、農場の一部をオーガニック基準に準拠するエリアとし、その他を通常の農場として運営することが可能だったが、バイオダイナミックの場合、農場全体がオーガニック対応でないと認められない。「しかも農場の10%が水路や木、牧草地などが自然に生まれている状況でなくてはならない」(バイオダイナミックフード認定機関のディメターUSA)という。つまり、外部から肥料を取り入れるのではなく、農場内でたい肥や動物の糞などから自然の肥料が生み出されるような循環型システムを作る必要がある。

 また、加工食品にする際は、オーガニックの加工基準が、ワインもオリーブオイルも同じ基準しかないのに対し、バイオダイナミックの場合は16のさまざまな加工基準を設けていて、加工自体も最低限に抑える必要がある。そのため、バイオダイナミックフードは食材の栄養素が豊富に含まれていて、リアルフードに近いクオリティーを保っているという。そのぶん高価で、例えばトマトソースの場合、通常のオーガニック商品と比べると、価格は2倍ほど高い。米国では現在、160以上のバイオダイナミック農場があり、ホールフーズマーケットや、クローガーなどのナショナルチェーンが認定商品を販売している。健康志向が年々高まっている日本でも、今後この流れが確実に広まりそうだ。

(文/勝俣哲生=日経トレンディ、飯塚真紀子 photo/高山 透)

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