日本マクドナルドが2016年6月15日から、「マックの裏メニュー」キャンペーンを開始する。定番商品「てりやきマックバーガー」「チキンフィレオ」「ダブルチーズバーガー」に、それぞれの味を引き立てるトッピングをアレンジした“裏メニュー”「裏てりやきマックバーガー」「裏チキンフィレオ」「裏ダブルチーズバーガー」を7月上旬までの予定で販売する。
これらの商品は、マクドナルドの商品開発チームとユーザーアンケートで選んだおすすめのトッピング例を商品化したものだという。まず、裏てりやきマックバーガーは「てりやきマックバーガー」にトウガラシの一種であるハラペーニョをプラスしたもの。濃厚でコクがある甘めのソースに、辛さを加えて刺激的にする狙い。もともとさまざまな味わいが重層的になっている「てりやきマックバーガー」にさらに味を加えて複雑にする狙いもあるという。
裏チキンフィレオは、「チキンフィレオ」にクリームチーズソースをトッピングしたもの。チキンの食感にとろりとしたチーズソースが絡む濃厚さが特徴だ。もともと女性に人気のチキンフィレオをリッチで上品な味わいにしたものだそうだ。裏ダブルチーズバーガーは「ダブルチーズバーガー」にスモークベーコンをトッピング。ここで使われているベーコンは、マクドナルドのほかのメニューで使われているものと同じだが、2016年4月にリニューアルした存在感のあるもの。牛肉のパティとベーコンのハンバーガーらしい組み合わせで、力強くゴージャスな味になったという。
3種類から自由にトッピングが選べる
今回のキャンペーンはそれだけではない。15種類の定番バーガーに「ハラペーニョ」「クリームチーズソース」「スモークベーコン」という3種類からトッピングを選んで加え、自分好みのオリジナルバーガーにできるのだ。トッピングは各40円で、最大3つまで選べる。
このキャンペーンは定番商品のおいしさの訴求が狙いだという。新しい味を加えることで定番商品を見直してもらうとともに、友達同士、家族などの間で味を比べたり、感想を言い合うことでより楽しいマクドナルド体験を、というわけだ。
「3つのトッピングは、20種類以上の素材から定番商品をよりおいしく、楽しくするという基準で選んだ」(日本マクドナルド メニューマネージメント本部の若菜重昭上席部長)という。ハラペーニョはトルコ産のものを輪切りにしてマリネしたものを使用。辛すぎることなくハンバーガーがより刺激的になるように仕立てた。オーストラリアとニュージーランド産のクリームチーズを使った「クリームチーズソース」はより濃厚な味を加えるトッピング。粘度を高くすることで、ほかの具材との絡みも良い。デンマーク産の豚バラ肉を使った「スモークベーコン」はよりジューシーでスモーキーな風味をプラスする。
このキャンペーンでは、各店舗のクルーがお薦めするトッピングをのせたメニューも用意するという。その例として、発表会の会場では3人のクルーによるお薦めトッピング例が発表された。大阪の店舗のクルーお薦めは「えびフィレオ」にハラペーニョとクリームチーズソースをトッピングしたもの。シャープな味わいのえびフィレオにまったりした味わいと、少しの刺激をプラスしたそうだ。名古屋の店舗のクルーのおすすめは「ダブルチーズバーガー」にハラペーニョをダブルでトッピング。パティもチーズもハラペーニョも全てダブルなバーガーの提案だ。東京の店舗のクルーのおすすめは「ベーコンレタスバーガー」にさらにスモークベーコンとクリームチーズソースのトッピング。ベーコンにさらにベーコンを重ねるのは裏メニューならではだ。
【試食レポ】ファストフードの限界を突破した!?
早速、発表会でこの裏メニューバーガーを実際にオーダーから試してみた。当日は発表会用に作られたオーダーシートに丸を付けてクルーに渡すシステムだったが、実際の店舗では口頭で普通に注文すればよいとのこと。
筆者が注文したのは、ダブルチーズバーガーにベーコンを2枚とクリームチーズソースという、これ1個でランチには十分すぎるほど濃厚で肉が多いオーダーとなった。
この3種類のトッピング、最大3つまでなら同じものを重ねてもよいというのが今回のキャンペーンのポイントだと思った。例えば、「ベーコン3つ」「ハラペーニョ3つ」といったより味を強調するようなオーダーができると、単なる風味付けを超えた新しいハンバーガーに出会えるような気がするのだ。
実際、ベーコンが2枚加わったダブルチーズバーガーは、従来製品に比べて厚みがあり、かなりボリューム感のあるハンバーガーになった。しかも濃厚なクリームチーズソースまで加えているのだ。ここまですると、食べた瞬間に別物だと分かるくらい、記憶の中のダブルチーズバーガーとは違う。ベーコンは脂の多いタイプで、マクドナルドのビーフパティに脂の風味とスモーキーな香りが入り込み、肉のグレードが上がったような気さえする。これは、脂分が足りないフィレ肉にベーコンを巻くことで風味を足した、昔のテンダーロインステーキと同じ発想だ。
クリームチーズソースはコクこそあるものの味はさほど濃くなく、ビーフパティとベーコンをうまくつないでくれる役割を果たしていた。味そのものはクリームチーズなので、どちらかというとさっぱりした風味。それがしつこくなりそうなギリギリで全体の味を調えているようだった。ベーコンは1枚にしてハラペーニョを足したほうが味のバランスはが良かったのかもしれないが、個人的にはベーコン2枚の過剰さがファストフードであるマクドナルドのハンバーガーの限界を突破したような気がした。
隣の参加者はてりやきマックバーガーにハラペーニョをダブル、そしてベーコンという組み合わせをオーダー。ハラペーニョはマリネされているだけあってそれほど強くなく、ダブルでのトッピングくらいがしっかりハラペーニョの辛さが味わえてちょうどよかった。またベーコンの噛み応えとハラペーニョの食感が心地良くて、飽きずに食べられたという。
さらに別の参加者はチキンフィレオにハラペーニョ、スモークベーコン、クリームチーズソースの全部乗せにもトライ。最初にハラペーニョとベーコンの風味を感じ、味わいが複雑になり、でも思った以上にまとまりがあったという。クリームチーズソースの印象が薄かったので、ハラペーニョをダブルにしてベーコンを加える組み合わせのほうがよりおいしかったかも、という感想だった。
三者に共通した感想は、食べ飽きなかったということ。単に風味を足すだけでなく、別のメニューだと思えるくらい極端なトッピングができるのはやはり魅力的なのだ。筆者は、この「ダブルチーズバーガー ダブルベーコン クリームチーズソース」にポテトのMとコーラで、腹いっぱいになった。セット購入でもトッピングは1つ40円でできるので、この組み合わせだと760円。まあ、満腹にならなかったら悲しい価格ではある。
お互いに印象を話し合うのはたしかに楽しいし、「次はこうしてみようか」などと考えてしまうので、このキャンペーンはけっこう当たるのかもしれない。フィレオフィッシュにベーコンとか、ハンバーガーにクリームチーズとか。ところで、なぜ「スモークベーコン」なのだろう。ベーコンは普通スモークされている気がするのだが。
(文/納富廉邦)