次に目指すは家電、文房具

 今、モラトゥーラは追い風に乗っているようだ。ベストポットの発売で、「クックパッド」や「おうちごはん」といった料理の人気サイトでもコラボ企画が計画されており、伊勢丹などの百貨店で期間限定ショップも展開されている。「まさか、自分が百貨店の店頭に立って販売するようになるとは想像していなかった。最も縁がなかった世界に踏み込んでいる。でもまだ始まったばかりで、これからが勝負」と山添社長は話す。

 今夏には、ベストポットを進化させた商品で家電業界に進出。すでに仕様書を作成して試作開発に入っているという。そのあとは、ベストポットの料理を味わえるカフェやワークショップ、アンテナショップの展開が予定されている。まずは米国から始めるという。そのために、テストとして、社員60人が入れる社員食堂を建設する予定だ。「まずは社員にベストポットのファンになってほしい」(山添社長)。

 さらに、文房具ブランドもすでに進み始めている。一番大事なときに使いたくなるような勝負ペンを開発中で、ブランド名は「Spiritine(スピリティン)」(LINEとSpiritとの造語)なのだそうだ。「削ることで思いを体現できるものをどんどん作っていきたい。 “リアル下町ロケット”として目指す夢に向かっている」と山添社長は語る。

 “なんでも削れる”という基本に戻ったことでわらしべ長者のごとく広がってきた事業。今後もさまざまなジャンルの市場で中村製作所やモラトゥーラの活躍を目にすることになるかもしれない。

(文/広瀬敬代、人物写真/菊池くらげ)

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