目指す目標でありライバルは、バーミキュラ

 さらに、消費者の声をじかに聞ける製品を手がけたいと2017年から開発を始めたのが、無水調理にたけた鍋「ベストポット」。これは、地元・四日市市で作られている陶磁器の萬古焼を切削し、鉄鋳物の蓋とピッタリ合うように加工した鍋だ。この鍋を、クラウドファンディングのMakuakeで発表。目標金額は200万円。しかし終了してみると、目標の3倍近くの560万円以上が集まったという。300個受注し、5月末までに配送を完了する予定。さらに、テレビショッピングで1200個、地元の金融機関から顧客へのノベルティーとして60個受注するなど幸先は好調だ。

無水調理鍋「ベストポット」16cm(2万1000円)、20cm(2万8000円)
無水調理鍋「ベストポット」16cm(2万1000円)、20cm(2万8000円)
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 「予想を大きく上回る金額で、これはいけそうだと思った。Makuakeはプロモーションが第一目的だったので、効果は十分に感じている。どういう人が購入してくれるのかを知ることができるのは大きい。面白かったのは、想像していたターゲット層とギャップがあったこと。クラウドファンディングという特性から30代が多いかと思っていたが、購入してくれたのは40~50代が大半」(山添社長)。応援したいから購入するというコメントも多かったらしい。では、これからはどういう展開をしていくのか。

 「目指すべきライバルはバーミキュラやストウブ」と山添社長は言う。それらと差異化するためには、四日市の伝統工芸を使い、地元で作られていることや、気密性が高いので余熱調理や無水調理が簡単にでき、そのまま食卓に出せることをしっかり伝えていきたいという。「気密性は実は高すぎて現在改良中。購入者やプロの料理研究家から、蓋がピッタリすぎて、火から下ろして少し置いておかないと蓋が開かないと。精密に作りすぎた」(山添社長)。無水調理どころか、圧力調理になってしまうらしい。そこで、ザラザラとしたホーロー加工をほどこし、わざと空気を少しずつ逃がすように改良している」のだそうだ。さらに、重すぎるとの意見を聞き、直径20cmタイプは蓋の重量が1.7kgあったものを1.3kgまで軽量化。直径16cmタイプは蓋の重量を1.4kgから1kgまで軽くした。「無水調理ができるギリギリの重さまで削った」(山添社長)。今後はサイズ展開も増やし、IHで使えるタイプも作っていく予定だそうだ。

ベストポットの蓋の裏側には凹凸があり、食材から出る水分が循環して無水調理ができる
ベストポットの蓋の裏側には凹凸があり、食材から出る水分が循環して無水調理ができる
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蓋の側面が斜めに削られている。陶磁器と蓋がぴたりと合うように角度をつけられたのは、卓越した切削技術があってこそのもの
蓋の側面が斜めに削られている。陶磁器と蓋がぴたりと合うように角度をつけられたのは、卓越した切削技術があってこそのもの
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