サンプリングに有効活用できる

 “飲む”モーメントにおいては、サンプリングに有効という。「これまで10万、20万といった大規模なサンプリングを行う場合、取引先のコンビニエンスストアなど流通側のサポートがなければ実現不可能だった。しかし対応自販機があれば、自前のオペレーションで可能になる」。

 第一弾として、6月からコカ・コーラの10万本のサンプリングが実施された。自販機のPOPを活用して「Coke ON」の告知を行い、アプリユーザーにはプッシュメッセージを配信。1週間に2万5000本というドリンクチケットの配布を、4週に渡って展開した。

 さらに8月から始まるリオ・オリンピックでは、オリンピックのワールドワイドパートナーならではの試みとして、“ゴールドメダルサンプリング”の実施を予定する。これは日本人選手が金メダルを獲得するたび、コカ・コーラのチケットを配布するものだ。「これまでにもさまざまなリアルタイムマーケティング施策を行ってきたが、今回は、日本中が盛り上がっているシーンでの飲用体験を伴う、究極のリアルタイムマーケティングだと考えている」。

 また熱中症予防対策にアクエリアスを訴求するため、西日本で実験的に気温・エリア連動サンプリングも実施している。これは気温35度を超えた猛暑日に、そのエリアにだけ、アプリを通じてドリンクチケットを配布するというものだ。今後は冬に氷点下に達したエリアにだけジョージアのホットコーヒーを提供するといったことも検討されている。

 アプリを活用することで、誰がいつどこでのどのブランドの商品を購入したのかが分かることから、購入したブランドに関連する価値の高いコンテンツを配信。右手に飲料を持ち、左手のスマホでそれを楽しんでもらうような飲用体験を提供していく。

 “楽しむ”モーメントにおいては、スタンプラリーをデジタル化するなど、これまでできなかったイベント体験を創出していく。現在、同社がスポンサーとなっている「お台場みんなの夢大陸」と「六本木ヒルズ夏祭り」の会場でアプリの告知が掲出されており、そのイベントエリアでアプリをダウンロードするとドリンクチケットが入手できるなど、さまざまな特典を用意してアプリの普及を促進している。今年の目標としては、対応自販機を14万台設置、アプリは200万ダウンロードを目指すという。

 最後に豊浦氏は将来の展望をこう話した。

「現在は自販機とつながるアプリという体裁だが、それだけにとどまらない本当の意味でのエンタープライズアプリに進化させていく。弊社は全国に98万台の自販機を持っている。これは国内最大級、すなわち世界最大級の規模だ。1台でも多くの対応自販機と1人でも多くのアプリユーザーという両輪で、世界最大のCRMプラットフォームができると考えている。そしてこれからは、これまでのコンテンツを中心としたマーケティング手法ではなく、売り上げに直接的に貢献する、そして実体験による価値提供を基軸にした施策を実施していく。これが今後、我々の目指す方向である。IMCではなくIMS(インテグレーテッド・マーケティング・サービス)と言ってもいいかもしれない」

(文/ライター 藤野 太一)