よしもとロボット研究所でPepperに携わる

 当時、音手がアート作品として扱われ始めたことに違和感を覚えていた高橋社長も、自分が突き詰めたいのはエンターテインメントだと気付き、そのセンスを磨くため同社の養成学校「NSC」に入学しコント創作などをしていた。引き合うように吉本所属のクリエーターとなり、2012年には片手で拍手ができるおもちゃ「パチパチクラッピー」を発売した。しかし、その後の展開に行き詰まりを感じるようになる。

 そのころ、Pepperを発表したソフトバンクから吉本に「日本の風土に合うよう面白くしてほしい」と依頼があり、エンターテインメント性を買われて高橋社長に白羽の矢が立った。2013年1月に発足した「よしもとロボット研究所」のチーフクリエイターに就任し、Pepperの語尾を上げセリフに微妙な間を空けたり、コミカルな動きができるようプログラミングをしたり、キャラクターをより明るく面白く変えた。それ以来、Pepperのアプリケーションコンテンツの開発・企画に携わり続けている。

初めて商品化した拍手おもちゃ「パチパチクラッピー」。手はシリコン製で軟らかい
初めて商品化した拍手おもちゃ「パチパチクラッピー」。手はシリコン製で軟らかい
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 ヒト型ロボットのPepperのコンテンツ制作を経験する中で「ロボットと人とのコミュニケーションというものを学び」、温めていた「小さなおもちゃだけでなく大きなロボットを作りたい」という気持ちが強くなったという。しかし、ビッグクラッピーにはタブレットも付けなかった。

 「Pepperは近未来を今実現したらどうなるか、という孫さん(孫正義ソフトバンク社長)の壮大な実験から始まった唯一無二な存在。僕らが新しく作るロボットにタブレットを付けるとスマホとロボットの単なる性能比較になってしまう」。高橋社長の専売特許である「拍手」にPepperで学んだキャラクター性を組み合わせて誕生したビッグクラッピー。その性能はエンターテインメント性に富んでいながらビジネス使用を強く意識している。

 人感センサーが視野は140度、距離は10メートルの範囲で人の動きを検知し、近づいているのか離れているのかも判別する。呼び込みだけでなく見送りまでしてくれる。拍手とコミカルな声と話し方で注意を引き集客にもつながる。「ビッグクラッピーのキャラクターのおかげで、人では踏み込めない人の懐にすっと入れる。面白く嫌みなく伝えてくれる」(高橋社長)。

専用iOSアプリと連携すれば、「カスタム発話機能」で自分で3つまでのセリフが録音でき、ビッグクラッピーの声に変換して再生できる。セリフと口の動きが連動する。一度タップすればあとは人感センサーで自動的に発話する
“拍手バカ”が行き着いた究極のロボット(画像)
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“拍手バカ”が行き着いた究極のロボット(画像)
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背面にあるボタンでシーンを選択、ツマミで音声ボリュームが調節できる。拍手の強弱も選べる。手を挟んでも痛くない設計。どこから見ても目が合うようデザインされている