さらに来場者が交わる施策を進める

 こうして2日間の078は無事に終了したのだが、その手ごたえはどうだったのだろうか?

 来場者数は、3会場、2日間合計で約3万6500人。これについては実行委員会でも驚くほどの数字だったようだ。単純計算にはなるが、ITデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)の来場者数は約8500人で、昨年まで同じ場所で開催されていた神戸ITフェスティバルは1500~2000人だったので、規模は4倍以上に拡大した。特に同会場では、子育て関連の企画があった影響か、家族連れの姿が目立った。そうした家族連れが最新テクノロジーの展示を体験するなど、まさに冒頭で説明した078の理念が現実となった姿を実感できたという。

 また、078を開催する主旨のなかで「若者の集積とその力の活用」という点があったのだが、こちらも成功していたのではないだろうか。前述した通り、若い世代の女性がテクノロジー関連のカンファレンスに足を運んでいたし、なによりボランティアの若い世代のスタッフが笑顔で仕事に取り組んでいた。しかも来場者に「こんにちは」と積極的に声をかけるなど、気持ちのいい会場づくりに大きく貢献していた。

 初回としては成功といえる今年の078。「『神戸の街×078』のポテンシャルの高さを感じた」という声も実行委員会から聞かれた。そのなかで来年以降の課題も浮き彫りになった。5月7日17時過ぎからのクロージングカンファレス「078-2017の総括と展望」では、神戸市長の久元喜造氏から、「会場を超えてそれぞれの来場者にクロスオーバして見せることのできる企画を考えたい。例えばライブステージの合間に最新技術のデモを行うなど。それから三宮の中心部だけでなく、サテライト会場を設置してネットでつなぐなど“オール神戸”で発信する事業にしていけないか」という提言があった。

 ジャンルを超えて来場者がさらに交わるには、さまざまな施策が必要になるだろう。久元市長の提言に加えて、078の多岐にわたるコンテンツの情報を分かりやすく発信する078案内アプリなどの必要性も提言された。ほかにも、学生の参加を促すピッチやハッカソンといった企画や、078が公認するミートアップ(会合)を増やそうというアイデアも出たようだ。

 こうした課題を一つひとつクリアしていけば、078が神戸を代表するイベントになる日も遠くないだろう。SXSWは1986年からその構想がスタートし、約30年を経て現在の規模になった。今後078が歴史を重ね、どのように発展していくのか楽しみだ。

078とタイアップして開催された三宮センター街の街バル「ヨルバル」。078の来場者も数多く訪れ、お酒や料理、音楽を堪能した。その様子は、SXSWの夜の盛り上がりをほうふつとさせるものだった
078とタイアップして開催された三宮センター街の街バル「ヨルバル」。078の来場者も数多く訪れ、お酒や料理、音楽を堪能した。その様子は、SXSWの夜の盛り上がりをほうふつとさせるものだった
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(文・写真/渡貫幹彦=日経トレンディネット)