地方育成の流れを大手イベントが強化

 大阪☆春夏秋冬と山口活性学園の成長過程を見てみると、いまどきのローカルアイドルの成り立ちが見えてくる。いずれもスタート時点では、有志の集まりや個人経営の会社から始め、地方で地道なアイドル活動を続けるうちに、その地方に盤石なファン層を確立。そうしたコアなファン層が今度はマイクロインフルエンサーとなって、ネット上に情報を拡散していく。これらの情報を中央の大手イベンターやメディアがキャッチし、中央進出へのキッカケを作っていくというものだ。

 こうした流れを積極的にとらえてイベント化するのが、今回のTIFの全国選抜の動きである。従来から同様の地方選抜イベントは複数存在しているが、すでに全国区で知名度が高く集客力も大きい大型アイドルフェスのTIFがこのような地方選抜イベントに参入する意義は大きい。なぜなら、選抜を勝ち抜いて最後に上がることができるステージの規模(集客)が他のイベントよりも大きいからだ。

 数万人規模でアイドルファンを集客する大型アイドルフェスでは、アイドルが10~30分間隔で次々と代わりながら演じていく、いわゆる“対バン”形式を採っている。対バンでは、それぞれのアイドルの持ち時間は短いが、他のアイドルのファンに自分たちのパフォーマンスを見せるメリットは大きい。さらに、最近のどのフェスにも併設されている物販から特典会の流れは、アイドルとファンが直接触れ合うことができる機会となるため、プラスアルファの集客効果が期待できる。もちろん、大型イベントとなれば、メディア露出の機会も増え、全国区でファンを増やすまたとない機会にもなる。

 手法やスタンスは異なるが、こうした“中央制覇”のシナリオを描くローカルアイドルは、大阪☆春夏秋冬や山口活性学園以外にも、ミルクス本物(札幌)やDorothy Little Happy(仙台)、MAPLEZ(広島)、ひめキュンフルーツ缶(愛媛)、LinQ(福岡)など枚挙にいとまがない。また、規模感や成り立ち、全国制覇のシナリオは異なるが、AKBグループ(SKE48、NMB48、HKT48、NGT48など)やスターダストの地方ユニット(チームしゃちほこ、たこやきレインボー、ばってん少女隊など)なども地方に根付きながら、中央アイドルに迫る集客を誇っている。

福岡のローカルアイドルグループ LinQ。所属はジョブ・ネット。写真は@JAM×ナタリーEXPO 2016にて
福岡のローカルアイドルグループ LinQ。所属はジョブ・ネット。写真は@JAM×ナタリーEXPO 2016にて
[画像のクリックで拡大表示]
スターダストプロモーション福岡営業所に所属するばってん少女隊。写真は@JAM×ナタリーEXPO 2016にて
スターダストプロモーション福岡営業所に所属するばってん少女隊。写真は@JAM×ナタリーEXPO 2016にて
[画像のクリックで拡大表示]

熱い夏はもう始まっている

 4月の段階でTIF2017全国選抜LIVEは、全国8ブロックの決勝参加グループが決まり、4月2日の「関東Aブロック」を皮切りに最終選考イベントが始まった。最終戦は5月28日の「関東Bブロック」で、計8組がTIF2017への参加権を得る。最終選考では、各ライブの来場者の投票と、“夢を叶える”ライブ配信プラットフォーム「SHOWROOM」での生配信中のユーザー投票によって、各ブロックから1組が選ばれる。

 イベント勝ち抜きの特典として、HKT48メンバーの指原莉乃がMCレギュラーを務める番組「この指と~まれ!」の出演権を獲得できるイベントも4月7日に発表された。4月~7月にかけて行われるこのイベントで1位になったアイドルには番組のエンディングテーマ曲を担当する権利も与えられるという。勝ち抜いたアイドルのうちの6組がTIF2017に出演できる。

 ローカルアイドルから全国区アイドルへ。その道のりは長いようで短い。なぜなら、アイドルたちが輝ける期間には限りがあるからだ。その短い間に、いかに自分たちの名前を全国に知らしめ、集客し、メディアに露出するか。TIF2017全国選抜LIVEや追加された選抜イベントでは、開催直前の7月までという実質たった半年足らずの間にアイドルたちの夢の実現の可否が決まってしまう。アイドルたちの夏は年明けから始まっているのだ。

(文/野崎勝弘=メディアリード)