みんなが反対することこそ、挑戦する価値がある

――実行してきたことが、すべて結果を出しているのが素晴らしいです。

鈴木:ですから私は、「みんなが反対することこそ、挑戦する価値がある」と言い続けています。むしろ誰もが賛成することは、ただの「常識」で、過去の経験の産物にすぎません。

 セブン銀行を発足するときも、反対意見ばかりでした。メインバンクの頭取さんには、「失敗するとわかっていることを見過ごすわけにはいきません」と、親切な助言をいただきました。だけど私が考えていたのは、少額の金をコンビニで下ろせたら便利だ、ということだけです。公共料金の支払いに充てる現金も、その場で下ろせますから。便利であることが、真理なんです。それなのに皆さん、前例がないからと、反対するんですよ。

■セブン-イレブンの進化の歴史
■セブン-イレブンの進化の歴史
注)表内の黒帯のトピックはセブン-イレブンが取り組んだ「世界初」「日本初」「業界初」の試みのなかの主要なサービス。グループ企業は主な資本関係や業務提携のある企業を掲載した。年表は2015年4月時点のもの。ドーナツは全国で展開されている
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――少し話は変わりますが、大学を出て最初に入社したのが、出版取次大手のトーハン。テレビ番組の制作プロダクションをつくろうとされたとか。

鈴木:そうそう。僕は、作家の谷崎潤一郎さんに会えた最後の世代じゃないかな。トーハンの看板を背負って、有名な作家や経済人と会ううちに、仲間と制作プロダクションを立ち上げたくなったんです。それでスポンサーを探しに、イトーヨーカ堂へ行ったら、「まずは社員に」と誘われた。ところが会社を移ったら、プロダクションの話なんかなくなっていたんです。

――話が進んでいたら、日本の流通革命はなかったかもしれないんですね。

鈴木:流通に全く関心がなかった男が、今ではどっぷりとつかっています。これも運命なんでしょうね。