日本で独自の方法を開発するしかなかったんです

――そもそもコンビニを開業しようとした動機は何だったのでしょう?

鈴木:当時は大型スーパーが台頭してきて、商店街がダメになるといわれた時代でした。でも私は、大型店だけですべてが間に合うわけがないという意見だった。小型店の課題は生産性でしたから、それを良くすれば、大型店と共存できると思ったんです。ちょうどその頃、視察で訪れた米国で、セブン-イレブンを目にします。ショッピングセンターやスーパーがある場所でも成り立っているのを見て、そこに大きなヒントがあると判断しました。

――仮説を検証するチャンスですね。

鈴木:最初はノウハウだけを手に入れればいいだろうと考えて、提携にこぎ着けた。ところが、運営マニュアルが使い物にならない。向こうのやり方をそのまま日本に持ち込んでもうまくいかないのが目に見えてました。しかし周囲の反対を押し切ってまで提携してますから、やっぱりダメでしたとは言えません。それで日本で独自の方法を開発するしかなかったんですよ。

――その結果、セブン-イレブンが世界で初めて、あるいは日本で初めて行った方式やサービスが多数あります。

鈴木:今日までに、世界初の試みは13項目。日本初は38項目あります。それと業界初が73項目らしいです。別に世界初や業界初を目指してきたわけではありません。そのときどきに突き当たった問題に真正面から取り組み、やるべきことに臆せず挑んできた結果です。

――複数のメーカーの商品を同じトラックで運ぶ共同配送もその一つですね。

鈴木:コンビニで牛乳を売るといっても、当時は1日に1店平均で何十本も売れてるわけじゃないですから。商品は僅かなのに、メーカーごとに違うトラックで運ぶのは、非常に非合理的ですよ。そこで共用のクルマで配送したらどうですか、と提案いたしました。地域ごとに、ここは森永さん、ここは明治さんと分ければいい、と。初めは他社の商品なんて運べないと反対されました。でも無駄を省きたいという思いを伝えて、共同配送を組織できました。今考えてみればどうってことないですけど、当時は破天荒な試みでした。

――ほぼ同時期に、商品を小分けした納品も進めています。

鈴木:70年代は、大きいことがいいことだという時代。ものも大量に運ぶのが合理的とされてました。だけど、小さい店だと1日何個しか売れないこともあるし、商品によっては週に何個も出ないものがある。小分けしなくちゃやっていけないですよ。問屋さんは嫌がりましたけど、我々の考えを実現するためには説得するしかない。

――配送に無駄が出るのは、何としても避けなければいけなかった。

鈴木:だからこそ、1つの地域に集中して店を出す戦略、いわゆる「ドミナント」の形成を重視したんです。店と店との距離感が近くなればデリバリーコストが下がるし、お客さんから見れば、右にも左にも店があるから買い物しやすい。その大義を押し通して、ここまで来ています。いきなり全国に店をばらまいても効率が上がらないので、1店舗ずつ積み重ねてきました。

年表は2015年4月時点のもの。ドーナツは全国で展開されている
年表は2015年4月時点のもの。ドーナツは全国で展開されている
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