安全面を徹底的に考慮して解体されるシカ

 みえジビエの特徴は、厳しい基準の品質・衛生管理マニュアルが存在することと、このマニュアルに準拠してシカなどの解体、販売などを行っている事業者を県が審査し、お墨付きを与える登録制度があることだ。

 マニュアルは、原則として散弾銃で捕獲した個体は使わないといった捕獲時の規定から、と殺後に解体処理施設に搬入するまでの時間や解体時のナイフの使い方まで細かく記載されており、食肉としての安全面を考慮した内容になっている。登録制度は2013年12月にスタート。第1回の登録施設は9施設だったが、2015年12月の時点では94施設と順調に数を伸ばしている。

三重県伊賀市にある、いがまち山里の幸 利活用組合 かじか
三重県伊賀市にある、いがまち山里の幸 利活用組合 かじか
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 解体処理施設として登録されている「いがまち山里の幸 利活用組合 かじか」では、主に罠で捕獲したシカを解体している。さらに安全性を考慮して「罠にかかった後、暴れるなどして死んでいた個体は使わない」(代表理事組合長の中森秀治氏)という。生きているシカに対して、放血などの処理をし、60分以内に施設に搬入、食肉用に解体している。マニュアルに基づく徹底した品質管理が行われている。

 解体後のシカ肉は、ロースやモモなどの部位に分けられ真空パックで出荷される。罠で捕獲したシカであっても過去に散弾などを受けているケースもあるので、出荷前には金属探知機でのチェックを実施。もちろん大腸菌やサルモネラ菌などの細菌検査も怠っていない。

“日本流ジビエ”を世界に広めたい~みえジビエの挑戦(画像)
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“日本流ジビエ”を世界に広めたい~みえジビエの挑戦(画像)
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解体されたシカは、丁寧に各部位に分けられて、真空パックで出荷される
いがまち山里の幸利活用組合 かじかの代表理事組合長を務める中森秀治氏
いがまち山里の幸利活用組合 かじかの代表理事組合長を務める中森秀治氏
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 出荷数は順調に伸びているようだ。平成26年度は約360頭を解体したが、「平成27年度は約500頭になる」と中森氏。今後の出荷増に対応するため、現在は冷蔵庫をより大型で最新のものに変更している最中だ。「(かじかの)近所では被害も減ってきている」と、中森氏は笑顔を見せる。詳しいことは教えてもらえなかったが、ジビエをさらにおいしくする工夫もテスト中という。

 中森氏はみえジビエの将来について「もっと一般の人が食べられるものにしたい」と話してくれた。みえジビエの品質に自信があるからこその言葉だ。