価格競争を脱するため、流通菓子の魅力を“拡散する”

 カルビーが自ら出店に乗り出した理由は、値引き競争に悩む菓子メーカーの実態がある。「菓子メーカーはどこも、できる限り良質な原材料を使い、安全・安心を基本に、誰にも手に入りやすい価格でおいしいものを作る努力を重ねている。にもかかわらず、売り場では値引き競争が激化しているのが現状。お菓子の楽しさ、魅力をもっと効果的に伝えたいと思った」(鎌田氏)。

 鎌田氏が同店を企画するにあたってイメージしたのが、子どものころに体験した工場見学。「白衣を着たスタッフに焼きたてのビスケットをもらったときのうれしさは、今でも忘れられない。完成品を小分けにするところ、袋詰めするところなども。そこで働く人にとっては日常的な作業だが、自社の工場でも行くたびに心からワクワクする」(同)。また子供のころに百貨店で一番好きな場所だったのは、回る円形の量り売り菓子台。こうした流通菓子のワクワク感を集めたのが同店といえる。「エキナカを企画したときもそうだったが、私はずっと“場作り”をしてきた。楽しい場に興味があり、今回も日本の流通菓子のワクワク感を伝える場を作りたかった」(同)。

 最近、さまざまな業界で「モノ消費からコト消費」といわれるが、鎌田氏によると「今はさらにその先のシェア消費の時代」だという。そこで、お菓子を通じて新しいつながりが生まれる場を提供することで、流通菓子の消費拡大につなげたいと考えたそうだ。

 例えば、量り売りコーナーにはレアなシリーズ菓子をあえて多数そろえた。「流通菓子には多くの種類があるが、多くの人はその一部しか知らない。量り売りコーナーで知らなかったお菓子に出合い、ファンになってもらえれば、『あのコンビニにはあった』『こっちのスーパーにはない』といった情報の交換が発生する。それが拡散され、消費者からの要望が伝わることで、コンビニやスーパーでもその商品が置かれるようになる」(鎌田氏)。つまり、SNSなどの口コミの拡散を通じて販路と売り上げの拡大をも期待しているのだ。

量り売りコーナーにはカルビーだけでなく、さまざまなメーカーのロングセラー菓子が並ぶ
量り売りコーナーにはカルビーだけでなく、さまざまなメーカーのロングセラー菓子が並ぶ
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菓子を入れた袋を計りに乗せて計量する。1グラム3円で、1袋だいたい500円前後
菓子を入れた袋を計りに乗せて計量する。1グラム3円で、1袋だいたい500円前後
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最後は店内のマシンでパッキングまでできる
最後は店内のマシンでパッキングまでできる
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 さらに、お菓子の楽しさ、魅力を伝える要素のひとつとしてピックアップしたのが、パッケージデザインだ。「メーカーは卸し売りが中心なので、最終的な販路は自分たちで決められない部分がある。しかし今回のイベントのように、ファッションの伊勢丹さんの中に店舗を置くことで、子供のころから見慣れたパッケージでも見せ方ひとつでファッショナブルになることを伝えたかった」(鎌田氏)。そこで、誰もが知っているロングセラー菓子のパッケージをデザインに取り入れたグッズも販売。なかには即日完売し、2日目から姿を消していた商品もあったという。

 伊勢丹との協業という形をとったのは、ファッション感度の高い売り場×日常の流通菓子という組み合わせが面白いと思ったから。さらに、流通のプロである百貨店が売り場作りでどのような点を重視しているかを学べる機会になるとも考えたそうだ。

「かっぱえびせん」パッケージがモチーフとなったPCケース(4860円)
「かっぱえびせん」パッケージがモチーフとなったPCケース(4860円)
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「ギンビス たべっこどうぶつ」の形をスタンプにデザイン化した「サーモマグ」(3240円)は、イラストレーターで スタンプアーティストAkko氏のデザイン
「ギンビス たべっこどうぶつ」の形をスタンプにデザイン化した「サーモマグ」(3240円)は、イラストレーターで スタンプアーティストAkko氏のデザイン
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