昨年末、品川駅構内にオープンした和食店「おだし東京」が、行列のできる人気店となっている。実はこれ、スープ専門店「スープストックトーキョー(Soup Stock Tokyo)」(以下、スープストック)が“和のスープストック”と位置付けた新業態だ。
オープンから2カ月あまりたった2月中旬、店に足を運んでみた。スープストックと違ってフルサービスの接客で、席に座るとすぐに温かいおしぼりとお茶が出てくる。写真付きのメニューを見ると、「8種のおだしと真鯛のお椀」「二重(かさね)牛だしのみぞれ椀」など、料亭風の豪華なビジュアルの汁物。いち押しらしい「8種のおだしと真鯛のお椀」を頼むと、椀からはみ出すほどのボリュームの真鯛にまず圧倒された。
さらに、和のスープ=味噌汁と思いきや、食べてみると濃厚なブイヤベース風の味付けであることにも驚かされた。炊きこみご飯は具なしのシンプルなものだが、濃厚なだしの香りに、おろしショウガ、青海苔のトッピングが効いた手の込んだ一品。2つの小皿は、蒸し白菜の白和え風と浅漬けで、こちらも丁寧に作られている印象だ。これだけの内容で1180円。閉店間際の22時半まで行列ができていることも珍しくないほどの人気だというが、それも納得の内容だった。
スープストックは洋風8割、和風2割くらいの割合だが、おだし東京ではその割合が逆転し、和風メニューが8割程度。ただスープストックでもオリジナリティーを出すために、洋風メニューにもしょうゆや味噌を隠し味として入れているように、おだし東京でもカツオと昆布のだしにオマールエビのだしを足したり、チキンブイヨンを足したりしている。また盛り付けも完全な和風ではなく、外国人がイメージする“和”の雰囲気にしているという。
スープストックは1999年に1号店(お台場ヴィーナスフォート)をオープンして以来、現在は60店舗以上を展開し、冷凍スープ専門店「家で食べるスープストックトーキョー」、ファミレス「100本のスプーン」も好調。そんな同社がなぜ今、和の新業態をスタートさせたのか。松尾真継社長に聞いた。