ロングライフチルド食品の普及で、廃棄ロス問題が解消する!?

 マルハニチロの「ロングライフチルド」シリーズを試食して驚いたのは、肉や野菜の食感が作りたてそのままのようだったこと。野菜、特にニンジンなどの根菜は冷凍にすると食感が損なわれる。レトルトや缶詰も高温殺菌が必要なので、食感や味が損なわれやすい。一方、「チルドの加熱調理は100℃未満なので家庭で調理するのと変わらない食感が味わえる」(同社)という。

 総じてどれも野菜の食感がしっかりあり、家庭ではできないハーブやスパイス使いをしている料理が多い。言われなければ保存食とはわからないレベルで、“長期保存できるデパ地下総菜”と考えると、価格は納得できるような気がした。

 魚介類の缶詰や冷凍食品のイメージが強いマルハニチロが賞味期限の長いチルド総菜を展開したのには、いくつかの理由がある。ひとつにはデフレの影響で量販店の加工食品の価格競争が進んでいて、他社との差別化が必要だったこと。もうひとつが、最近大きな問題となっている廃棄ロスへの対策だ。

 食品流通業界では食品の製造日から賞味期限までを3分割し、「販売期限は賞味期限の3分の2の時点までを限度とする」などとした商習慣(3分の1ルール)があり、年間500万~800万トンという食品の廃棄ロスの原因のひとつとなっている。しかし、製造日から賞味期限までの期間が長くなれば、それだけ廃棄ロスを減らすことができる。

 さらに総菜をメインにしたのは、総菜売り場は販売量の予測が難しく、廃棄ロスや「売り切れで買えなかった」という購買機会ロスが多いから。ロングライフチルドでこれらのロスを減らすことができ、総菜売り場の人手不足問題の解消にもつながるというわけだ。

 チルド食品がまだ弱かった同社は、独自のロングライフチルド製法を確立するにあたり、フランス最大手のフローリ・ミション社と技術提携。高温殺菌も冷凍もせずに、長期間にわたって品質を保持するためには、製造時と流通時の徹底的な温度・衛生管理が不可欠だ。だが日本ではチルド食品の流通温度がフランスより低いことや、気候の差などから試行錯誤を繰り返したという。

「鶏肉と野菜のハーブ焼き」は保存食ではなく家庭で調理したような食感で、家庭ではなかなか出せないハーブの効いた本格的な味付けだった
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ビーフシチューの肉は軟らかく煮込まれているが、ジャガイモ、ニンジンはまったく煮崩れていない
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ラタトゥーユは冷たいまま食べてもいいとのこと。冷えた状態でも本格的なハーブの香りを強く感じた
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「スープカレー」は大きな肉と野菜がごろごろ入っていて、2人でシェアできそうなボリュームだった
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