ここ数年、サラダ専門のチェーン店が急激に店舗数を伸ばしている。そんななかキユーピーが2018年2月16日、サラダ用の調味料「サラダソルト」シリーズを発売した。同社家庭用本部 調味料部 ドレッシングチームの林孝昌氏は「1958年にキユーピーが日本で初めてサラダドレッシングを発売して今年で60周年。改めて野菜と向き合い、サラダの新しい魅力を提案したい」と開発の狙いを語る。

写真左から「サラダソルト レモン&オレンジMIX」「サラダソルト バジル&オレガノMIX」「サラダソルト パクチー&レモングラスMIX」(各40g、参考小売価格248円)。容器は携帯や保存に便利なチャック付き
写真左から「サラダソルト レモン&オレンジMIX」「サラダソルト バジル&オレガノMIX」「サラダソルト パクチー&レモングラスMIX」(各40g、参考小売価格248円)。容器は携帯や保存に便利なチャック付き
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 サラダソルトの最大の特徴は「野菜のおいしさを引き出すことに特化して研究開発した塩」(キユーピー担当者)だという。粒子が細かくて塩味(えんみ)がまろやかなドイツ産岩塩をベースに種類の異なる塩を混ぜている。野菜の水分になじみ、口の中で素早くうまみが広がるよう、岩塩を顆粒状に加工したという。「レモン&オレンジMIX(以下、レモン&オレンジ)」「バジル&オレガノMIX(以下、バジル&オレガノ)」「パクチー&レモングラスMIX(以下、パクチー&レモングラス)」の3商品を展開。ターゲットはナチュラル志向が強く、トレンドに敏感な30代を中心とした女性で、年間3億円の売り上げを目指すという。

ひとくちかむごとに味や風味が変わる

 まず、トマトにかけてそれぞれの味を食べ比べてみた。3種類に共通して感じたのは、和風、イタリアンなど味が完成した液状ドレッシングと違い、野菜と調味料の絡み具合によって野菜それぞれの味わいが変化するという点だ。

 特にレモン&オレンジは「今、塩のうまみを感じた」「今度は柑橘の果皮の香り」というように、ひとくちかむごとに味や香りが変わるので食べ飽きることがない。開封直後から柑橘の爽やかな香りを強く感じ、これまでのサラダ用調味料にはないフレッシュ感がある。バジル&オレガノはイタリアンではおなじみのハーブの組み合わせだが、野菜と和えたときの味わいの変化とうまみを3品のなかで最も強く感じた。パクチー&レモングラスはエスニック風だが、予想していたよりも穏やかな香りだ。

レモン&オレンジをかけたトマト。トマトのフルーティな甘味が強く引き出されるのを感じた
レモン&オレンジをかけたトマト。トマトのフルーティな甘味が強く引き出されるのを感じた
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キユーピーによると、レモン&オレンジに合う野菜はレタスだという。使用量の目安はレタス2枚(約60g)につき小さじ1杯分。塩のうまみと柑橘類の香りがレタスのほろ苦さとマッチしていた
キユーピーによると、レモン&オレンジに合う野菜はレタスだという。使用量の目安はレタス2枚(約60g)につき小さじ1杯分。塩のうまみと柑橘類の香りがレタスのほろ苦さとマッチしていた
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「素材そのものの味」を求める消費者が増えている

 「少子化による人口減で多くの調味料市場が縮小傾向にある」(林氏)というが、同社の推計によると、空前のサラダブームが追い風となり、2011年に約660億円だった液状ドレッシング市場は2017年には約760億円に伸長しているという。市場が拡大している今はチャンスといえるが、なぜあえて塩で勝負するのか。

 「消費者の嗜好の一つとして、素材そのものの味を重視する傾向が強くなってきている」と林氏は話す。特に野菜は塩や油、ハーブ、ビネガーなどのシンプルな調味料で素材そのものの味を楽しみたいという人が増えてきているというのだ。確かに、ここ数年はコクや旨みが強いドレッシングが好まれるようになってきているが、そのぶん野菜の風味を感じにくい傾向になっているかもしれない。

バジル&オレガノにはジャガイモの組み合わせが合うとのこと。茹でただけのジャガイモの甘みが強く引き出されたように感じた
バジル&オレガノにはジャガイモの組み合わせが合うとのこと。茹でただけのジャガイモの甘みが強く引き出されたように感じた
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 だが、サラダ用の塩という新しいカテゴリーを作ることによって、同社の柱である液状ドレッシングの売り上げは縮小するとは考えなかったのだろうか。これに対し、林氏は「ドレッシングから市場を奪うのでなく、サラダの新しい食べ方を提案することで新たな市場を築きたい。サラダ市場はまだまだ伸びると考えている」と話した。

(文/桑原恵美子)