ぬれてもかさ高を失わない構造が温かさの秘密

ザ・ノース・フェイス「サーモボール」

 ザ・ノース・フェイスでは、2011年より「Thermoball(サーモボール)」という名前のポリエステル100%の化繊綿を開発し、製品化をスタート。ダウンの弱点であった水ぬれによるかさ高の減少(=保温力の低下)をカバーし、ダウンのようなソフトな感触を実現した画期的な素材だ。

ポリエステル糸をカールさせた直径3~5ミリのふわふわとした集合体が、サーモボールの正体。湿潤時でも体積減少率が低いため、水に強くかさ高をキープできる
ポリエステル糸をカールさせた直径3~5ミリのふわふわとした集合体が、サーモボールの正体。湿潤時でも体積減少率が低いため、水に強くかさ高をキープできる
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 「アウトドアフィールドでは水ぬれは避けられません。雨や雪など外からの浸入と、汗による内部のぬれ。このぬれによる冷えは時に命に関わるリスクとなります」と話すのは、ザ・ノース・フェイス プレスルームの永山貴博氏。ダウンは軽量で保温力に長けるが水ぬれにはとても弱く、全天候に対応できるわけではない。そこでダウンに代わって活躍するのが化繊綿なのだが、「水ぬれに強い化繊綿というとシート状の板綿しかなく、ダウンのようなかさ高を出すことができなかった」(永山氏)という。

 そこで「ダウンのように膨らんで、化繊綿と同じ水ぬれに強い特性を持ったインサレーション」が必要だと考えた同社が開発したのが「サーモボール」だ。

 水を含むとかさ高が約3分の1になってしまうダウンに対し、サーモボールははっ水性に優れ、ほとんどかさ高が変化しないので空気層がつぶれることなく、保温性をキープできる。まさに望み通りの化繊綿だ。

「レッドポイントライトフーディ」(3万円)。サーモボールを使用した代表的モデル。保温レイヤーとして、防水・防風ジャケットと組み合わせてレイヤリングできるよう程よい厚みに仕上げている
「レッドポイントライトフーディ」(3万円)。サーモボールを使用した代表的モデル。保温レイヤーとして、防水・防風ジャケットと組み合わせてレイヤリングできるよう程よい厚みに仕上げている
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 サーモボールの発表から早6年がたち、サーモボールとはまた違う性能をもつオリジナルの化繊綿がこの春に新登場すると永山氏。筆者はひと足先に展示会でその“正体”を目の当たりにしてきたが、実に興味深く目からウロコ。正式な発表が待ち遠しい!

(文/山畑理絵)

山畑理絵(やまはた・りえ)
フリーランスライター/アロマテラピーインストラクター(AEAJ認定)
音楽プロダクションの制作、アウトドアショップの販売員を経てライターになる。のんびり日帰りハイクからテント泊縦走、トレイルランニング、ボルダリング、スキー、キャンプなど、四季を通してフィールド三昧の日々。雑誌「ランドネ」「PEAKS」「山と渓谷」など、アウトドア媒体をメーンにライター活動をするかたわら、AEAJ認定のアロマテラピーインストラクターとして、「山とアロマ」をテーマに神出鬼没なワークショップを展開している。