20年かけて日本人好みのハイカカオを研究した森永

 まずは、日本の大手メーカーとしていち早くハイカカオチョコレートを発売した森永製菓に話を聞いた。

 森永製菓は1918(大正7)年に、日本で初めてカカオ豆からのチョコレートの一貫製造による日本初の国産ミルクチョコレートを発売したメーカー。いわば日本のBean to Barチョコレートの元祖ともいえる存在だ。ハイカカオチョコレートの先駆けになったのも同社で、1997年にカカオ70%の「カカオ70」を発売している。「発売当初は“健康のため”というよりは“おいしさ”重視。カカオのおいしさをシャープに引き出すために、カカオをより高配合したチョコレートを提供したいと考えた」(森永製菓 コーポレートコミュニケーション部 国近文子部長)。“コンビニやスーパーで気軽に買える素材重視のシンプルで高品質なプレミアムチョコレート”を追求した結果が、ハイカカオチョコレートだったというわけだ。「単にカカオ分が高いだけではなく、“日本人の口に合うおいしいハイカカオのチョコレート”を作るために、欧米人と違う日本人の嗜好を研究して完成させた。創業者の森永太一郎が掲げた『日本に西洋菓子を広めたい』という目標と、根底は変わっていない」(国近部長)。

 「ハイカカオチョコレートのブームは過去何回もあった。2004年ごろに『チョコレート・ダイエット』という本が話題になったときには、高カカオチョコレートの売り上げが一気に伸びたが、ブームが終息するのも早かった」と、森永製菓の八木格マネジャーは振り返る。しかし「カレ・ド・ショコラ<カカオ70>」は、チョコレートダイエットのブームが終わったあとにじわじわリピーターが増え、売り上げを伸ばしている。2013年にはテレビ番組(「たけしのみんなの家庭の医学」)でハイカカオチョコレートが高血圧の予防改善に役立つと紹介され、高血圧に不安を持つ50~60代の男性もハイカカオチョコレートを購入するようになった。

 「入口は『健康のため』でも、『食べたらおいしかった』『クセになる』という人が多いことが、継続購入につながっているのでは」と八木マネジャーは見ている。おいしくなくても健康のためにガマンして食べているのであれば、ほかに健康によさそうな食品が出ると、そちらに移るからだ。

 「ブームの最中にハイカカオチョコレートを食べ始めた人たちには、もしかしたら『あまりおいしくないけれどダイエットのため』という、味のトレードオフ(二律背反)があったのかもしれない。その中で『カレ・ド・ショコラ<カカオ70>』を知り、ハイカカオチョコレートのおいしさを知っていただけたのではないかと見ている。今回のハイカカオのブームは長く、3年くらいハイカカオチョコレートの売り上げが伸び続けている。ハイカカオならではのおいしさを知っていただくことが、食べ続ける習慣に結びつき、健康にもつながると思う」(八木マネジャー)

1997年に発売されたカカオ70%のハイカカオチョコレート「カカオ70」。2005年に「カレ・ド・ショコラ<カカオ70>」にリニューアル
1997年に発売されたカカオ70%のハイカカオチョコレート「カカオ70」。2005年に「カレ・ド・ショコラ<カカオ70>」にリニューアル
[画像のクリックで拡大表示]
森永製菓の「カレ・ド・ショコラ<カカオ70>」を薄い板状にしたのは口溶けの良さや口に入れた時の香りの立ち方などを細かく計算した結果だという
森永製菓の「カレ・ド・ショコラ<カカオ70>」を薄い板状にしたのは口溶けの良さや口に入れた時の香りの立ち方などを細かく計算した結果だという
[画像のクリックで拡大表示]