スープが冷たいうちに豚バラ肉を投入!?

 とり野菜みそについて分かったところで、改めて鍋を作って食べてみることにした。というのも、同社の公式サイトにはCMにも出演する東村アキコ氏のエッセイ漫画が掲載されており、そのなかで東村氏が「袋の裏面にある説明通りに作ることが大切」と力説していたからだ。そこで、「豚バラ肉を鍋スープが冷たいうちに投入する」という説明に従って、再度とり野菜みそで鍋を作ってみた。すると、前回と同じ鍋スープの素を使ったとは思えないコクとうまみにあふれた鍋に! ようやく、とり野菜みそにハマる石川県民の気持ちが理解できた。

 東村氏がエッセイ漫画のなかで何度も「味の奥行きがすごい」と表現していたのは、鍋スープ自体の主張が強くなく、具材同士が融合して重層的に味を引き立て合っているからなのだろう。

 とり野菜みその味で一番大事なのは「おいしくしすぎないこと」と松本社長は話す。「鍋の素の完成度を高めすぎると、特定の食材しか合わないようになる」(松本社長)。どんな食材にも合うよう、ここ10年ほどの間にも数回、味の微調整をしているそうだ。

袋の裏面には「本品と水を入れ溶かし」「具を入れてから火にかける」と書いてある。指示通りに作ったとり野菜みそ鍋は絶品だった。東村氏によると「バターを加えるとさらにおいしい」とのこと
袋の裏面には「本品と水を入れ溶かし」「具を入れてから火にかける」と書いてある。指示通りに作ったとり野菜みそ鍋は絶品だった。東村氏によると「バターを加えるとさらにおいしい」とのこと
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 鍋の素のトレンドはバラエティ鍋ブームが終わり、定番に回帰。だが、定番は差異化が難しいため、今度はだしに特化するなどして完成度を高める方向に向かった(関連記事「鍋つゆの新トレンドは『パウチの中でだしをとる』!? 」)。トレンドが変わりやすい市場環境で「鍋の素といえばこれ」という強いブランドが存在せず、同じ味なら価格の安いほうを選ぶという流れができている。

 そんななか、とり野菜みそは“ブランドなき”鍋の素市場で唯一、指名買いされているブランドといえる。コラボ商品が多いのもブランド力が強いからだろう。とり野菜みその快進撃はまだまだ続きそうだ。

(文/桑原恵美子)