大手の低価格チョコとBean to Barは何が違う?

 一般的な板チョコとBean to Barの決定的な違いは何か。Bean to Barはカカオそのものの甘みを生かすために砂糖をできるだけ控えているため、成分表を見るとカカオが最初に表示されている。だが一般的な低価格帯の板チョコは、カカオの前に砂糖が表示されている。つまりカカオより砂糖の分量が多いということだ。またほとんどに、バニラなどの香料が入っている。試しにBean to Barチョコレートを食べた直後に、いつもおいしいと思って食べている100円の板チョコを食べてみた。すると、砂糖そのものの甘さと人工的な香料が強烈に口の中に広がり、その違和感に驚いた(少し時間を置いて食べたら、またおいしく感じられた)。食べ比べてみれば、Bean to Barの「カカオそのものを味わう」感覚が分かるだろう。

 成分表示でもうひとつ気がついたのは、明治 ザ・チョコレートには「乳化剤」が表示されていたこと。ちなみに「ダンデライオン」「エミリーズチョコレート奥沢」のチョコレートには含まれていない。明治によると、「乳化剤は原材料の安定性を高め、ブルーミング(チョコの表面が白く変色してしまうこと)を起きにくくするために使用している」とのこと。

 エミリーズチョコレート奥沢の澤村氏は「『余計なものは使いたくない、なくてもいいものは使わない』という方針なので乳化剤を使っていない。だから温度管理はシビアになるし、湿度の高い梅雨の季節は気を使う」とのこと。ちなみに同店のサイトで購入したチョコレートは気温の高い5~11月はクール便の冷蔵で送られ、購入後は冷蔵庫に密閉容器で保存することを勧めている。ダンデライオン・チョコレートの芹沢茉澄氏によると、「当店では2種類の原材料のみでチョコレートを作っているが、Bean to Barのチョコレートメーカーでもこのような作り方をしているブランドはそれほど多くない。大手でなくても乳化剤やカカオバターなどを含むBean to Barを作っている会社もある」とのこと。オールシーズン、コンビニでもスーパーでも手軽に買えるという条件を満たすためには、乳化剤は必要不可欠なのだろう。

 こうした従来のBean to Barの作り手たちは、大手メーカーの参入をどう感じているのか。「私は子供のころから食べ続け、遠足や友人たちとの思い出がつまっている大手メーカーのチョコレートも大好き。ただ、本物のチョコレートの味を知ることも大切なことだと考えている。大手メーカーの参入でBean to Barの認知が高まり、生活者がある程度手ごろな価格でBean to Barを選べるのはいい時代になったと思う」(エミリーズチョコレート奥沢の澤村氏)。「大手メーカーの参入はシンプルなプロセスを身近に感じてもらえるいい機会。多くの人がチョコレートの本質的なおいしさに触れる機会が増えることはとてもうれしい」(ダンデライオン・チョコレートの芹沢氏)と、いずれも好意的に受け止めている。

「ダンデライオン・チョコレート」の「アンバンジャ, マダガスカル 70%(56g)」の成分表示
「ダンデライオン・チョコレート」の「アンバンジャ, マダガスカル 70%(56g)」の成分表示
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明治のBean to Bar「ザ・チョコレート」の成分表示
明治のBean to Bar「ザ・チョコレート」の成分表示
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一般的な大手メーカーのミルクチョコレートの成分表示
一般的な大手メーカーのミルクチョコレートの成分表示
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(文/桑原恵美子)