素材そのものをシンプルに味わう――。コーヒー界に押し寄せるサードウエーブ(第3の波)ブームが、チョコレート界にも広がっている。カカオ豆(Bean)の状態から板チョコレート(Bar)になるまでの工程を職人が一貫して行う「Bean to Bar」チョコレートの人気が高まっているのだ。

 そんななか、大手メーカーの明治がスーパーやコンビニ向けに販売しているBean to Bar「明治 ザ・チョコレート」も、1枚200円以上と大手の定番板チョコレートより高価格でありながら売れている。「目標値はかなり高く設定したが、発売直後からその約2倍も売れており、シリーズで1000万個を突破している。発売当初から食べた人がSNSなどで情報を拡散していた印象」(明治 菓子マーケティング部 スペシャリティチョコレート担当の佐藤政宏専任課長)という。

2016年9月にリニューアル発売された「明治 ザ・チョコレート(50g)」(実勢価格220~230円)。「力強い深みコンフォートビター」「華やかな果実味エレガントビター」「優しく香るサニーミルク」「濃密な深みと旨味ベルベットミルク」の4品
2016年9月にリニューアル発売された「明治 ザ・チョコレート(50g)」(実勢価格220~230円)。「力強い深みコンフォートビター」「華やかな果実味エレガントビター」「優しく香るサニーミルク」「濃密な深みと旨味ベルベットミルク」の4品
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2016年12月発売の2品。「魅惑の旨味ジャンドゥーヤ」と「鮮烈な香りフランボワーズ」
2016年12月発売の2品。「魅惑の旨味ジャンドゥーヤ」と「鮮烈な香りフランボワーズ」
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 手作り感や希少性が受けているBean to Barに、大量生産のチョコレートを展開する大手メーカーがなぜ参入したのか。従来のBean to Barチョコレートとはどこが違い、なぜ売れているのか。

Bean to Barは一過性のブームを超えた?

 まず大手参入の背景としては、Bean to Barがブームを超えて安定期に入りつつあることが挙げられる。ブーム以前の2010年にBean to Barチョコレート工房「エミリーズチョコレート奥沢」を立ち上げた澤村エミリ氏によると、首都圏だけでなく日本全国から注文が入るようになったのは、2012~2014年ごろ。その時期から増えた同業者との共同イベントで人気の高まりを感じたが、当時はどこかで「一過性のブームではないか」という不安もあった。しかし最近は食に対する感度の高い人を中心とした愛好家の広がりを実感しているという。

 さらに、2016年2月11日には、Bean to Barの代表格とされる米国サンフランシスコ発「ダンデライオン・チョコレート」が日本1号店をオープンした(関連記事「サンフランシスコ発の“Bean to Bar”「ダンデライオン」が日本初上陸! チョコレートは3種類だけ!?」 )。

エミリーズチョコレート奥沢の「ペルー産マラノン 71%(約75g)」(税込み1500円)。マンゴーや柿、赤ワインの風味があり、濃厚なヨーグルトのようだという人もいるとか。1日ひとかけらで十分楽しめるという。※現在は品切れ
エミリーズチョコレート奥沢の「ペルー産マラノン 71%(約75g)」(税込み1500円)。マンゴーや柿、赤ワインの風味があり、濃厚なヨーグルトのようだという人もいるとか。1日ひとかけらで十分楽しめるという。※現在は品切れ
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2016年2月11日にオープンした「ダンデライオン・チョコレート ファクトリー&カフェ蔵前」
2016年2月11日にオープンした「ダンデライオン・チョコレート ファクトリー&カフェ蔵前」
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1階のショップ奥にはチョコレートファクトリーがあり、現在7人のスタッフが1日300~500枚のチョコレートを製造している
1階のショップ奥にはチョコレートファクトリーがあり、現在7人のスタッフが1日300~500枚のチョコレートを製造している
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ダンデライオン・チョコレートの「アンバンジャ, マダガスカル 70%(56g)」(1200円)。マダガスカルのアケッソン農園のカカオを使用したチョコレート。フレーバーはレモネードのようなシトラスと強いベリー系の風味のコンビネーションで、同店のラインアップのなかで最も酸味が強いという
ダンデライオン・チョコレートの「アンバンジャ, マダガスカル 70%(56g)」(1200円)。マダガスカルのアケッソン農園のカカオを使用したチョコレート。フレーバーはレモネードのようなシトラスと強いベリー系の風味のコンビネーションで、同店のラインアップのなかで最も酸味が強いという
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