野菜好きを増やし、買い方意識を変えるのが使命

 平林社長は法学部出身。高校生のときに米国に留学し、海外志向が強かったという。大学進学後も国際情勢について研究するゼミに参加し、仕事は国際連合関係を目指していた。しかし大学在学中の2011年、東日本大震災をきっかけに、「それまでグローバル重視だった視点が国内に向くようになりました。被災地に定期的に訪れてワカメの養殖などしているうちに、地元の宮崎県のためにも何かしたいと思い、宮崎に戻って何かできないかと考えていました」(平林社長)。

 地元に戻り、縁あってインターン先の子会社の社長に就任した。このとき大学3年生だった。社長に就任後すぐに立ち上げたのが、スムージー専用の野菜や果物を宅配する専門店のベジオベジコだ。地元の農家を1軒1軒まわって契約を結び、独自の配送網を作って、東京までの輸送・販売をする垂直統合型のビジネスモデルを構築した。スムージーブームにのって事業は1年足らずで売り上げが10倍以上に成長し、黒字化を達成。そして、第2弾として立ち上げたのが、ベジリーだ。

 「今後は地元農家と共同で生産も手がけながら、宅配まで自分たちで行ってコストを下げ、農家の売り上げを伸ばすだけではなく、ユーザーにとっても適正価格で提供できる仕組みを確立したい」(平林社長)

 また、宅配サービスが増えてきたなかで認知度を高める対策もすでに行っている。それが、リアル店舗だ。「基幹サービスはあくまでもアプリ。しかし、楽天やアマゾンなどの大手とは違って、ベジオベジコ、ベジリーと聞いてもきょとんとするのが普通です。そこで安心感を持ってもらうために実際に店舗が必要だと思いました」(平林社長)。そこで、東京・根津に「VEGEO VEGECO 根津」をオープンした。

根津の「VEGEO VEGECO 根津」では、野菜をはじめ、調味料や麺類など常時80~90種類が並ぶ
根津の「VEGEO VEGECO 根津」では、野菜をはじめ、調味料や麺類など常時80~90種類が並ぶ
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 下町として知られる根津を選んだ理由は、対面販売でコミュニケーションしながら、はやりすたりで終わらないつきあいができることだと平林社長はいう。今後は、八百屋兼配送拠点にもなるような店舗を増やしていきたいのだそうだ。

わずか8坪だが、九州産の野菜が豊富に並ぶ
わずか8坪だが、九州産の野菜が豊富に並ぶ
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VEGEO VEGECO根津で人気なのは、宮崎県綾町の福重さんが生産する「福じいさんの野菜」
VEGEO VEGECO根津で人気なのは、宮崎県綾町の福重さんが生産する「福じいさんの野菜」
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 さらに、平林社長は「業界が広がることは追い風。盛り上がるほど認知度も上がり、ユーザーにとって選択肢が増えます。そこで他社が出せない野菜を出すことが自分たちの強みになり、農家の収入増にもつながります」と自信を見せる。

 小さいころから周囲に農業を営む家が多くあり、野菜は身近な存在だったことから「もっと野菜を好きな“ベジオとベジコ”が増えてほしい」という平林社長。宅配サービス業界の成長は、今後のベジリーの躍進でさらに広がりそうだ。

(文/広瀬敬代 写真/菊池くらげ)

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