農家をハッピーにする仕組み

 宮崎の野菜は関東圏で売られる機会が少ないこともあり、地元ではよく見かけても、関東圏では珍しい黒大根などが話題になってインスタで紹介されるようになった。それがアプリを登録するきっかけにもなっているようだ。

 「黒大根や葉付きのカラフルなニンジンなどは定番野菜ではなく、市場に出荷されにくい野菜でした。農家と直接やり取りしていくうちに、そういう野菜を多く販売するようになったんです」と平林社長は話す。

 現在、ベジリーと契約している農家は、定期的に取引しているのが60~70軒。季節限定の取引を含めると約100軒を超える。「宮崎県だけで50軒以上。最近は北海道の農家とも取引が始まり、冬は宮崎のものを中心に、夏には、宮崎では暑すぎて収穫できないこともあるので、北海道の野菜が入荷するなどバランスが取れてきました」(平林社長)。

 100軒を超える農家がベジオベジコと直接契約するメリットはなんだろうか。「“農家をハッピーにする”のがベジオベジコの理念です。もうかる農業を作りたい。それを達成するポイントはどれくらいの付加価値を作れるか。そして、流通コストをどれだけ抑えられるかです」(平林社長)。

 価格は農家とともに決めており、多くの商品の売り上げは農家とベジリーで50:50になるように設定している。もちろん流通コストはベジリー側が持つ。「流通まで行うことで、農家の売り上げを3割から5割まで引き上げることができました。味は一緒なのに規格外ということで市場に流通できない野菜も買い取るので、農家側にとってもムダやロスがない。価格はスーパーで販売している商品よりも高いですが、ほぼ毎日入荷しているので新鮮さ、おいしさには自信があります。生産者のプロフィールをしっかり紹介することで付加価値もつけています」(平林社長)。結果的に、現在契約している農家の売り上げは20~30%増加しているという。

VEGERYを運営するベジオベジコの平林聡一朗社長
VEGERYを運営するベジオベジコの平林聡一朗社長
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 流通コストは大きな課題だ。実は宮崎県はほかの九州の県に比べて空輸が難しく、基本的に陸路で運ぶしかないという。そうなると流通コストがかさむ。その問題もあり、関東圏に宮崎の野菜が出回る機会が少ないのだそうだ。

 流通コストは約7割にも上るという。例えば、100円のこまつ菜の場合、70円は中間業者、運輸業者、店舗(スーパーなど)が取り、生産者の農家へは30円しか入らない。特に遠方へ運ぶほどにコストはかさむ。そこで、「流通コストをどれだけ抑えて農家に還元できるかを考えて、独自の配送網を作りました」(平林社長)。

 ベジリーは本社のある宮崎のほかに、ユーザーが多い都心に配送するために渋谷に配送拠点を設置。九州からの配送は市場に向かうトラックの一部を使用し、そこからは社内で宅配までまかなう。今後は全国の配送をもっとスムーズにするために配送拠点や配送網を充実させていく方針だ。

 「宅配の場合は届ける時間帯を1時間ごとに設定できるので、ユーザー側が待つ時間も短く、再配達はこの1年間でほぼない」(平林社長)。流通コストの問題を最小限にすることで、ベジリーでの注文が増えるごとにベジオベジコも農家も売り上げが伸びるという仕組みになったのだ。

■変更履歴
写真のキャプション「BEGERY」は誤りで、正しくは「VEGERY」でした。お詫びして訂正します。[2018/01/23 13:36]