最新作の撮影ではあえて2Dに“回帰”した

――シリーズが15年続く中で、撮影技術もずいぶん進歩したと思います。監督にとって大きな変化は何でしたか?

アンダーソン監督: 毎回、最新のテクノロジーを取り入れているんだけれど、大きかったのは2010年に公開した4作目、『バイオハザードIV アフターライフ』だね。撮影がデジタルになり、かつ3D作品になったから。3D作品の撮影は、監督業をイチからやり直しかと思ったくらい違うんだ。撮影手法、フレーミング、あらゆるものを考え直さなくちゃいけないからね。

――最新作ではどんな取り組みを?

アンダーソン監督:実は今回、2Dに回帰するという大きなチャレンジをしたんだ。通常、3D作品を作るときは3D用の機材で撮るんだけど、『バイオハザード:ザ・ファイナル』は2D用の機材で撮って、2D作品を3D作品に変換しているんだよ。3D用の撮影機材はものすごく大きくて重い……機動力が高くないんだ。映像に臨場感を出したかったので、あえて小回りが利く2D用の機材を使ったんだ。

撮影中のアンダーソン監督
撮影中のアンダーソン監督
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――2Dから3Dへの変換は難しいとも聞きます。

 2Dの映像を3Dに変換するときは、3Dの奥行きを表現するために、2Dの映像をレイヤーに切り分けていくんだ。手前に人物、その奥にテーブル、その向こうに壁、みたいにね。観客から自然に見えるように、それぞれの距離感を1フレームずつ設定していくんだから膨大な作業だよ。

 そういう作業はスタッフに任せてしまう監督も多いんだけど、それでは監督の意図とは違う、イマイチなものになってしまう。だから僕は3Dに変換することを前提に、3Dに精通した撮影監督を付け、3D化を意識したセットを作り、変換作業にもずっと立ち会った。そのために製作期間が4カ月延びたし、何カ月も暗い部屋にこもって作業するはめになったけれど、そのかいはあって素晴らしい映像が撮れたよ。

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 「観客は追加料金を払って3D作品を見るのだから、それにふさわしい映像にしなければいけない」と語るアンダーソン監督。言うまでもないが『バイオハザード:ザ・ファイナル』は、前作までを見ていない人でも楽しめるストーリー構成になっている。映像の迫力も満点なので、コーラとポップコーンを手に持って鑑賞するのはやめておいたほうがいい。

ポール・W・S・アンダーソン
ポール・W・S・アンダーソン
1965年3月4日、英国生まれ。ウォーリック大学で映像製作や文学を学び、『ショッピング』(1993年)で映画監督デビュー。ハリウッド進出作『モータル・コンバット』(1995年)でゲームソフトの映画化を成功させ、本作への礎を築いた。以後、『イベント・ホライゾン』(1997年)、『ソルジャー』(1998年)を経て、『バイオハザード』(2002年)で監督、製作、脚本を担当。同作は低予算製作ながら1億ドル以上の世界興収を上げ、シリーズ化。2017年12月13日公開の『バイオハザード:ザ・ファイナル』がシリーズ6本目。このほか、代表作として『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』(2011年)、『エイリアンVS. プレデター』(2004年)などがある。
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(文/堀井塚高、写真/稲垣純也)