月額課金制サービスが今後の主流に?

 とはいうものの、フィーチャーフォンからスマートフォンへシフトする流れは変えられないことから、配信する事業者の側はここ数年来、スマートフォンに適した音楽配信サービスの開発を進めてきた。レコチョクの事例を挙げるならば、2012年にはNTTドコモと、月額課金制でテーマに沿った楽曲をラジオ感覚で楽しめる、ストリーミング型の配信サービス「MUSICストア セレクション Powered by レコチョク」(現在は「dヒッツ Powered by レコチョク」)を開始。そして2013年には、やはり月額課金制を採用したストリーミング型のサービスながら、多数の楽曲の中から好みの曲を選んで再生できる「レコチョク Best」を開始している。

レコチョクは2012年に、NTTドコモと「dマーケット」上のコンテンツ「MUSICストア セレクション」を開始。後に「dヒッツ」と改名し、dマーケットの主要コンテンツの1つとなっている
レコチョクは2012年に、NTTドコモと「dマーケット」上のコンテンツ「MUSICストア セレクション」を開始。後に「dヒッツ」と改名し、dマーケットの主要コンテンツの1つとなっている
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 そして現在、そうした月額課金制のストリーミングサービスが、モバイル音楽配信の今後の主流になるとして注目されつつある。実際、昨年5月にサイバーエージェントとエイベックス・デジタルが共同出資したAWAが運営する「AWA」がサービスを開始したのを皮切りとして、LINEの「LINE MUSIC」やアップルの「Apple Music」、そしてグーグルの「Google Play Music」など、月額課金制の音楽ストリーミングサービスが相次いで国内でのサービスを開始。数千万単位の楽曲を、スマートフォン上でストリーミング再生できる月額課金制のサービスが増え、人気を高めているのだ。

 また今年の9月には、同種のサービスの先駆けともいえる「Spotify」が、満を持して日本上陸を果たしている。Spotifyは既に海外で高い人気を獲得しているのに加え、月額課金制の有料サービスだけでなく、再生方法などに制約はあるものの、フルの楽曲が無料でも楽しめることから、やはりサービス開始当初より関心を集めているようだ。

今年の9月には、海外で人気の音楽ストリーミングサービス「Spotify」が上陸。有料だけでなく、無料でもフルの楽曲を楽しめることから注目を集めている
今年の9月には、海外で人気の音楽ストリーミングサービス「Spotify」が上陸。有料だけでなく、無料でもフルの楽曲を楽しめることから注目を集めている
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 月額課金制のサービスの人気が高まっていることは、数字からも見て取れる。「日本のレコード産業 2016」によると、PC配信・スマートフォン向けの、月額課金制を採用した「サブスクリプション」の売り上げは、2012年には約5億円だったのが、2015年には約123億円にまで急拡大している。

 月額課金制のサービスは、ユーザーにとっても多数の楽曲を、比較的リーズナブルな月額料金で楽しめるメリットがあるし、楽曲を配信する側にとっても、ダウンロード型とは異なり毎月安定した収入が得られるというメリットがある。加えて最近では、ソフトバンクの「ギガモンスター」に代表されるように、20GBもの大容量通信を月額6000円で利用できる、安価なデータ通信サービスも提供されている。そのため今後、月額課金制のサービスが、モバイルにおける音楽配信の主流になっていく可能性は高く、同種のサービス同士の競争が非常に激しくなるといえそうだ。

(文/佐野正弘)