音楽配信の主流となった「着うたフル」

 その後着うたはボーダフォンの日本法人(現在はソフトバンク)やNTTドコモにも採用され、3Gサービスの広がりとともに人気を高めていった。そして2004年には、auが「CDMA20001 1xEV-DO」というより高速な通信方式を導入したのに合わせ、楽曲の一部だけでなく、楽曲を丸ごと配信する「着うたフル」を開始。レーベルモバイルもいち早く着うたフル向けの楽曲配信を開始したのである。

 着うたはあくまで楽曲の一部に限られていたため不満を抱くユーザーも多かったが、着うたフルは文字通り、フルの楽曲を手に入れられることから、着うたより一層大きな注目を集めて人気となった。着うたフルの楽曲は1曲当たり200~400円程度と、「iTunes Store」など当時のパソコン向け音楽配信サービスなどと比べ高額で、著作権保護の観点などから楽曲データの取り回しが難しいなど、必ずしもユーザーフレンドリーとはいえない部分もあった。だがそれでもなお、携帯電話から直接利用できる手軽さで若い世代からの人気を獲得し、一躍音楽配信の主役に躍り出たのである。

 実際、日本レコード協会が発表している「日本のレコード産業 2015」を見ると、着うたフルを含む、フィーチャーフォンの「シングルトラック」の売上金額は、2005年には約72億円だったのが、最盛期の2009年には約494億円と、4年で7倍近くにまで拡大している。いかに着うたフルの市場が急速に伸びていったかが、理解できるのではないだろうか。

 着うた・着うたフルで人気となった楽曲も、そうした時代背景を大きく反映しているようだ。着うた・着うたフルの終了に合わせてレコチョクが公開した、フィーチャーフォンで人気のあった楽曲ランキングを見ると、1位がGReeeeNの「キセキ」、2位が青山テルマ feat.SoulJaの「そばにいるね」、そして3位がやはりGReeeeNの「愛唄」となっている。これらはいずれも2007~2008年に提供された楽曲であり、ちょうど着うたフルの市場が大きく伸びた時期にヒットしている。

 同様にアーティストのランキングでも、1位がEXILE、2位が倖田來未、3位が浜崎あゆみと、やはり2000年代後半に高い人気を博したアーティストが多く名前を連ねている。当時からCDの売上減少は叫ばれていただけに、こうしたアーティストの人気を、着うた・着うたフルの伸びで支えていたともいえるわけだ。

ケータイ 着うた・着うたフルランキング
ケータイ 着うた・着うたフルランキング
(レコチョク発表資料より)
ケータイ 着うた・着うたフルランキング
ケータイ 着うた・着うたフルランキング
(レコチョク発表資料より)