実際の使い勝手は?

 FES Watchを実際に使ってみるとどうなるか。使用感を紹介しよう。

 横のボタンを押すと時刻が表示され、5秒前後で消えるのが基本操作。さらに、腕を下げた状態から時計を見る動作や、腕をひねる動作をすることで時刻を表示する「ウオッチアクション」機能を搭載する。既存のデジタル時計のように常に時刻を表示してくれるわけではないのは残念だが、ボタンを押さなくても時間は確認できるので、思ったほど使い勝手は悪くない。

 また、FES Watchは数字で「時」、針で「分」を表示する。この手法もやや特殊だが、実は一般的な時計の短針とほぼ同じように、数字の表示位置は時刻に合わせて移動するようになっている。例えば、3時であれば右横に、9時であれば左横に表示されるので、時間の感覚は意外とつかみやすいと感じた。

FES Watchは数字で「時」、針で「分」を表示する
FES Watchは数字で「時」、針で「分」を表示する
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 また、着け心地は一般的なゴムベルトの腕時計に近いイメージで、バンド部分の硬さや質感はゴムとプラスチックのちょうど中間ぐらい。43gと非常に軽い点も魅力となっており、装着感はおおむね良好だった。

 さらに、これはある意味当然かもしれないが、FES Watchでデザインを変えると多くの人が興味を示してくれた。全体的なデザインはとてもシンプルだが、ギミックで注目を集めることは確実。会話のきっかけ作りなどにも重宝しそうだ。

今後はどう進化する?

 クラウドファンディングでニーズを探るところから商品化に成功したFES Watchは、今回ついに一般発売をするまでに至った。しかし、今後のさらなる改良進化も模索している。

 進化のひとつ目の軸となるのは、「デザインのバリエーションを増やす」というもの。柄のパターンを増やすのがもっともシンプルなやり方だが、杉上氏が着目しているのは質感。電子ペーパーで疑似的に質感を表現するだけでなく、別の方法で「本質的な質感を出していきたい」と意気込む。

 もうひとつの軸は「時計以外のアイテムにも幅を広げていく」という試み。電子ペーパーを布として捉えれば、洋服やカバンなどにも展開できるため、その可能性はかなり大きいといえる。

 普及までの道のりは平たんではないだろうが、「デジタルファッション」が当たり前となる未来もそう遠くないだろう。その第一歩がFES Watchなのだ。

(文/近藤 寿成=スプール)