電池寿命は60日から2年に

 FES Watchの開発の原点は「好きなときに好きなデザインで楽しめるファッションアイテムを作る」ことにある。そこから電子ペーパーとファッションの結びつきに光明を見いだし、電子ペーパーを「紙」ではなく、身にまとえる「布」として捉えて開発した。

 開発の先頭に立ったソニー新規事業創出部 Fashion Entertainments プロジェクトの杉上雄紀氏が見据えているのは「ファッションがデジタル化される未来」。利便性優先のスマートウオッチとは違って、FES Watchは「身に着ける喜びが増すような存在にしたい」と杉上氏は話す。

 FES Watchを奇抜な形状にせず、あえて腕時計らしいデザインにしたのも「新しいスタンダードを作りたい」からであり、「今あるものが徐々にデジタルに進化していく過程を示唆する」のが狙いだ。

ソニー 新規事業創出部 Fashion Entertainments プロジェクトのリーダー 杉上雄紀氏
ソニー 新規事業創出部 Fashion Entertainments プロジェクトのリーダー 杉上雄紀氏
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 FES Watchは腕時計の進化形だが、機能性や利便性で腕時計に劣っては意味がない。そこで、ポイントとなるのが「電池の持ち(=省電力性能)」だ。例えば一般的なスマートウオッチが、1〜2日程度しか持たないバッテリー性能によって時計としての使い勝手を損ねている。

 FES Watchが採用している電子ペーパーは、消費電力が少ないのが特徴だ。しかし、それはあくまでも液晶ディスプレーと比較したときの話。電子機器であることには変わりないため、そのままでは一般的な腕時計と同じように年単位で利用することはできない。

 実際、クラウドファンディングを始めた当初の試作機では、FES Watchはボタン電池1つで約60日しか持たなかったそうだ。しかし電気回路などを作り込むことで大幅に改良し、商品化された今では「約2年」まで延びた。

 また、電子ペーパーには、表示が切り替わっても前の映像が残像として残ってしまう「焼き付き」というウィークポイントがある。この問題についても、切り替わる柄の順番などを工夫することで解決したとのことだ。

FES Watchの内部構造
FES Watchの内部構造
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■変更履歴
本文に誤りがありました。「クラウドファンディングを始めた当初の試作機では、FES Watchはボタン電池1つで約80日しか持たなかったそうだ」という文ですが、正しくは「FES Watchはボタン電池1つで約60日しか持たなかったそうだ」でした。お詫びして訂正いたします。該当箇所は修正済みです。 [2016/03/07 10:30]