6000万人の顧客基盤を武器に参入

 一方、急速に利用者を拡大させるCASHの勢いに慌てたのがメルカリだ。「CASHの着眼点は、我々の応えられていない消費者ニーズを捉えていると感じた」(メルカリ執行役員の伊豫健夫氏)。以前から買取サービスは検討はしていたものの、形にはなっていなかった。CASHの隆盛を見て早期参入を決断したのだろう。

メルカリのアプリ上で「メルカリNOW」のメニューを選び、ブランドや状態を選んで撮影する
メルカリのアプリ上で「メルカリNOW」のメニューを選び、ブランドや状態を選んで撮影する
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筆者のバッグは「メルカリNOW」で790円と査定された
筆者のバッグは「メルカリNOW」で790円と査定された
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 メルカリにとっての最大の強みは6000万という顧客基盤だ。メルカリNOWは個別のアプリではなく、フリマアプリ上の機能の1つとして追加した。新規のアプリでは、メルカリの既存利用者に改めてダウンロードしてもらう必要があり、顧客基盤を生かしきれない。既存のアプリへの追加機能として開発することで、サービスを開始した瞬間から6000万人の見込み客がいる。これがメルカリの強さだ。

 月間の流通総額が100億円超という流通網を持つことも強力な武器となる。買い取った商品は、子会社を通じてメルカリのフリマアプリ上に出品して販売する。こうして、メルカリで買い取り、メルカリで売る、そんな新しいエコシステムを構築しようとしている。サービス開始と同時に、まとめて3品を売却すると500円が上乗せされるキャンペーンなどを実施して、利用を促進。「初年度から黒字化を狙っていく」(伊豫氏)。

 このような買取サービスが続々と登場する背景には、少額融資ニーズの拡大がある。フリマアプリの登場によって消費行動が大きく変化している。誰もが簡単にネットを使って売買できるようになったことで、消費サイクルが加速。洋服を購入して何度か着たら、フリマアプリで売って、新しい洋服を買う。そんな消費行動が定着しつつある。メルカリでは出品された商品の半数が、24時間以内に売れるという。このように2次流通が身近になり、消費行動が変化する中で、少額融資のニーズの拡大を後押ししているようだ。

 しかし、メルカリでは商品を発送して、取り引きが完了した時点で売り上げとして反映される。さらに、振込申請をしてようやく入金される。「現金を必要としていても、手に入るまでには時間がかかる。しかも、(売れるかは分からないため)確実ではない」(光本氏)。とはいえ、消費者金融に足を踏み入れるのはハードルが高い。そこで消費者がメルカリの利用で慣れた物品を出品する手順を基に現金を手に入れるまでのプロセスを、さらにショートカットしたのが即時買取アプリというわけだ。

 フリマアプリの登場により、急拡大する2次流通市場。即時買取アプリは市場拡大の第2の起爆剤となるか。2018年はその行く末が注目を集めそうだ。

(文/中村勇介=日経トレンディネット)