デザイン分野のスタッフは170人以上

――社内のデザイン哲学を変えるというのは、大変なことのように思えます。そのためにどんな取り組みをして何を変えてきたのでしょうか。

ボイド氏: デザイン哲学を変えるというのは、私がデルに入る少し前に、マイケル・デルがCEOに復帰してから首脳陣によるトップダウンの形で行ってきたことです。当時のデルはパソコンメーカーから、システムの構築や運営を行うサービスを提供する企業に変わろうとしていた変革の時期で、トップダウンの形でエンジニアリング、調達、マーケティングなどすべての部門を変えようとしていて、デザイン部門もそのひとつでした。

 私が行ったことは、さまざまな強みをもった多様なデザイナー陣をそろえることでした。デザインセンターには、15~20の分野におよぶデザイナーを集めました。人間の行動パターンのリサーチ、素材科学、トレンドのリサーチ、色彩や仕上げなどの分析、工業デザイナーやソフトウエアデザイナーなど、さまざまな専門分野を持ったデザイナーがいます。世界中のトップ企業から集めた人材で、デザインセンターで使われている言語は20言語におよびます。人数にすると170人以上で、日本人もいます。

デルのデザインは、様々な分野の専門家によって作られている
デルのデザインは、様々な分野の専門家によって作られている
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――それだけ幅広い分野の専門家が1つのデザインを作り上げていく、そのデザインプロセスはどうなっているのでしょう。

ボイド氏: デザインセンターはアジア、欧州、米国の3カ所にあり、その中で大きく2つのチームに分かれています。

 ひとつは中・長期的な観点でリサーチを行うチームです。5年先や10年先にはどうなっていくのかという将来の動向を掴み、それに対するビジョンをまず作り上げます。

 そのビジョンがある程度固まると、3年先といった短期を見据えたもうひとつのチームに引き継がれ、そこで実際の製品デザインに落とし込んでいきます。この引き継ぎは緊密に連携してスムーズに行われ、それぞれの分野のデザイナーが協力しあってデザインにあたります。将来のビジョンを作って、それを製品に落とし込んでいくため、最新の行動パターンの分析や素材科学の知識などを持った専門家が必要になってくるのです。