人材確保にはPCのデザインが大事
――デル製品全体に共通する、デザインポリシーについて教えてください
ボイド氏: デザインありきではなくユーザーのニーズを重視し、それを満たす製品を提供する。これが我々のポリシーです。ユーザーがどんなニーズを持っているのか、何を欲しいと思っているのか、それを正しく把握することにまず時間をかけ、それからデザインをスタートします。
――デルが日本でパソコンを販売するようになって長いですが、デルというと実用性重視で、デザインは二の次といったイメージの人も多いと思います、それがここ数年、デルのパソコンのデザインが大きく変わり、XPSシリーズに代表されるようなスタイリッシュなものが増えました。この変化はどこから来たものでしょうか?
ボイド氏: 私が入社した当初、マイケル・デル(デルの創設者、会長兼最高経営責任者)から、社内のデザイン哲学やデザイン戦略にテコ入れをして、もっとデザインに力を入れてほしいという意向がありました。
デルは製品をカスタマイズしてユーザーの元に届けるという、パソコン販売で革新を起こした会社ですが、デザイン面ではそうした革新性はありませんでした。ユーザーが使っていて楽しいと思えるデザイン、欲しいと思ってもらえるデザインが必要でした。そこで、機能に対するユーザーニーズを満たすだけでなく、デザインに対するユーザーニーズをも満たせる製品にしよう、そうした考え方の変化が社内で起こったのです。
――なぜ変化が起きたのでしょう?
ボイド氏: コンシューマー市場でパソコンのデザイン性が重視されるようになり、それがビジネス向けパソコン市場にも波及してきたのが要因です。コンシューマー向けにデザイン性に優れたパソコンがあるのだから、ビジネス向けにもそうしたパソコンが欲しいというわけです。
それが特に顕著なのは、ミレニアル世代(米国で1980年代半ばから2000年代初めにかけて生まれた世代。デジタルネイティブとされる)です。ミレニアル世代は就職先を探すとき、仕事用にどんなデバイスが支給されるかなどのIT環境を重視します。企業にとって、機能が優れているだけでなくデザイン性も優れたパソコンを提供できることが、優秀な人材を惹きつけて確保することにつながるのです。