カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)グループで写真関連事業を展開するCCCフォトライフラボ(東京都新宿区)が、スマートフォン向けアプリ「PicsArt」を開発する米ピクスアートへの出資を検討していることがわかった。ピクスアートCBO(最高事業責任者)のウィルソン・クリーゲル氏が日本事業の本格展開に向けて、CCCフォトライフラボからの出資の受け入れを検討していることを本誌に明らかにした。PicsArtは国内ではほとんど知られていないが、実はグローバルで月間1億人超が利用する大規模な写真投稿型のSNSだ。

 CCCフォトライフラボは、2017年1月にCCCの子会社として設立された。ネット写真販売事業のフォトクリエイト(東京都新宿区)を中核事業とする持株会社で、CCCグループの写真事業の統括会社という位置付けとなる。

CCCフォトライフラボが米ピクスアートへの出資を検討していることが明らかになった
CCCフォトライフラボが米ピクスアートへの出資を検討していることが明らかになった
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 同社はデジタル事業を強化するために、この1年間で相次いでベンチャー企業に出資をしている。7月に子会社化したコトコト(東京都新宿区)は、子供の動画を高画質のDVDにできるスマホアプリ「filme(フィルミー)」を展開している。さらに11月にはUXENT(アクセント、東京都千代田区)の一部株式を取得してグループ化した。同社は、お祝いのメッセージや動画をQRコード付きメッセージカードでプレゼントできるサービス「moovin」を展開する。こうした写真を軸としたデジタル戦略の一環として、ピクスアートへの出資を検討しているようだ。

 出資の対象となるピクスアートは、「アプリがグローバルで毎月2000万件ダウンロードされる」(クリーゲル氏)急成長中の企業。同社の提供するPicsArtはサービスとして2つの側面を持つ。1つ目は画像加工アプリとしての側面だ。スマホで撮影した写真をボタン1つで絵画調にしたり、美肌補正を加えたりといった多彩な画像編集機能を使って、誰でも簡単に写真や動画を加工できる。

国内でもクチコミだけで利用者300万人超

 もうひとつは、加工した画像を投稿して他の利用者に共有できるSNSとしての側面だ。特徴的なのは単に作品を投稿してフォロワーに披露できるだけではなく、投稿された画像は他の利用者が自由に二次加工できる点にある。ピクスアートはこれを「リミックス」と呼んでいる。リミックスされた画像はすべて、オリジナルの画像にひも付いてサービス上に広がっていく。リミックスされた画像の数が多いことは、すなわちオリジナル画像の投稿者の評価にもつながる。

 こうして作品を通じて、利用者同士のコミュニケーションが活発化される。リミックスも含めて、月間で8億5000万枚超の画像が投稿されるという。海外では特にクリーエーターによる利用が活発で、「自身の作品のショーケースのように使うクリエーターも多い」(クリーゲル氏)。

「PicsArt」は1つの写真がさまざまな利用者に二次加工される「リミックス」が特徴だ
「PicsArt」は1つの写真がさまざまな利用者に二次加工される「リミックス」が特徴だ
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 利用者の投稿を促すために、企業が主催する画像投稿コンテストも活発に実施されている。これはブランドや映画のプロモーションを目的としたものが多い。例えば、米国の人気バンドのサーティー・セカンズ・トゥー・マーズのリミックス画像の投稿コンテストには4週間で4万7000件を超える写真が投稿された。企業から請け負うコンテストの開催や、広告収益がPicsArtの主な収益源となっている。

 最近は、日本国内でも若年層を中心に急速に利用者が増えているという。「日本では主に女子中高生が『Instagram』などのSNSに投稿するために写真を加工するアプリとして、クチコミで利用が広がっている。プロモーションをしていないにもかかわらず、すでに300万人超に利用されている」(クリーゲル氏)。また、PicsArtは1つの画像をグループで編集できる機能があり、例えば、旅行に行った後に参加者で共同編集をするような使われ方も増えているそうだ。

 ピクスアートは利用者が急拡大する日本市場に本格参入するうえで、パートナーとなる企業を探していた。「これまで、米セコイア・キャピタルなどから出資を受けてきたが、ベンチャーキャピタルから資金調達する段階は終わった。これからは各国に合わせてローカライズした事業戦略を推進するうえでパートナーを募り、共同で事業を進めていく」(クリーゲル氏)。こうして両者の思惑が一致したことから出資を検討し始めたのだろう。

 CCCフォトライフラボは、PicsArtで制作した画像をデジタルプリントできるサービスなどを検討していく。なお、出資額などの詳細については今後、詰めていくものと見られる。

(文/中村勇介=日経トレンディネット)