聖地化の背景にあるアニメ本数の増加

 アニメを観光資源として活用することに成功している自治体の代表例が埼玉県だ。2007年に放映され、聖地巡礼ブームの先駆けとなった『らき☆すた』(舞台は久喜市から春日部市周辺)、映画化もされた『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(あの花)』(秩父市)や『心が叫びたがってるんだ。(ここさけ)』(秩父市、秩父郡横瀬町)などがある。

 2013年からは、アニメと観光事業の振興を図るイベント「アニ玉祭」も開催している。痛車の展示やアニソンライブ、アニメの舞台となった地域やアニメ制作会社、アニメ系専門学校の出展、コスプレなど、企業、地域、ファンが参加するイベントである。毎年開催されている「アニメの聖地サミットin埼玉」では、アニメ関係者がアニメと観光について議論した。

アニメの聖地サミットin埼玉で登壇した秩父観光課の中島学主幹と聖地会議の柿崎俊道社長
アニメの聖地サミットin埼玉で登壇した秩父観光課の中島学主幹と聖地会議の柿崎俊道社長
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 この中で、フライングドッグの南健プロデューサーは「アニメの舞台が聖地化した背景は、現在のアニメ放送数によるところが大きい」と語った。現在テレビ放映されている新作アニメーションの数は年間200本を超え、年々増加している。そのため、架空の場所でゼロから背景を作成するよりは、特定の場所を舞台とし、その場所を取材して街並みや背景をそのまま使用したほうが効率がいい。

 町おこしとして、自治体から要望されて舞台にすることもあるが、どちらかというと、このような制作サイドの事情が大きいという。言い換えれば、アニメ制作においては、特定の場所を聖地とする意味合いはあまりないということだ。