「Google Home」「Amazon Echo」といったスマートスピーカーや、外出先から電化製品などを操作できるスマートホームが話題となっている。同じように自動車の世界で注目を集めているのが「コネクテッドカー」だ。コネクテッドカーは、常時インターネットにつながり、さまざまなサービスを利用したり、情報を収集したりできる自動車のこと。では、どんなことができるのか。その具体像が今年の東京モーターショーでは垣間見えた。
象徴的だったのが「TOKYO CONNECTED LAB 2017」だ。ドーム型のスクリーンで、東京という街とモビリティの未来像を提示した「THE FUTURE」、30台のPlayStation VRを接続してコネクテッドカーの可能性をアピールした「THE MAZE」といった主催者展示を中心に、ここでは各メーカーが持つ技術が展示されていた。
あのLINEがトヨタブースに参加
なかでももっとも突っ込んだ展示をしていたのが、トヨタ自動車だ。CONNECTED LABのトヨタブースで大半を占めていたのは、LINEが開発を進める音声アシスタント「Clova」を活用したカーナビの展示だ。
トヨタはフォードとともに、カーナビなどの車載機器とスマートフォンやタブレットを連携させる規格「Smart Device Link(SDL)」の策定の中心的役割を担ってきた。このSDLにLINEの「Clova」が対応する、と発表されたのは、今年6月のこと。その具体的な成果として、パナソニックのカーナビなど、各社の車載製品が展示されていたわけだ。
SDLに対応した最新の車載機器では、カーナビでの行き先設定をはじめ、車載機器に対するさまざまな操作にAIの能力を活用できるようになった。音声認識ボタンを押してから話しかけると、LINEに届いたメッセージを読み上げたり、天気予報やニュースを聞いたり、好きな音楽をかけたりといったことができる。早い話がSDL対応のカーナビは、スマートスピーカーのような使用感と機能が得られるのだ。
ネットを通じてクルマのセキュリティを遠隔制御
さらに筆者の目を引いたのは、周囲の壁面を使って展示されたいくつかの技術だ。
まずは「スマートキーボックス」。これはクルマのキーロックやセキュリティーをスマートフォンから制御するシステムで、専用アプリをインストールしたスマートフォンがクルマの鍵へと変身してしまうのだ。
例えば、時間を指定して、友達のスマートフォンにクルマのドアの開閉や運転に必要な操作ができる権限を与えれば、カーシェアが実現できる。他にも、宅配便の配達員が持つスマートフォンに一時的にトランクだけを開閉できる権限を与え、クルマのトランクを宅配ボックスとして利用するアイデアも提案されていた。
この技術はほぼ実用化レベルまで開発が進んでいて、海外ではレンタカーやカーシェアリングシステムとして活用する実証実験が始まっているのだという。日本でも法的な問題がクリアされる2020年ごろから運用される見込みだとのこと。