来る2017年11月18日と19日の2日間、CSチャンネル「フジテレビ ONE」で放映中のeスポーツ専門番組「いいすぽ!」が、お台場を舞台にeスポーツのイベントを開催する。それに先立ち、番組のMCを務めるバカリズムさんと、企画・プロデューサーとして番組を制作するフジテレビジョンの門澤清太氏に、現在何かと注目を集めるeスポーツについてお話をうかがった。

バカリズムさん。CSチャンネル「フジテレビONE」で2016年4月に放映を開始したeスポーツ専門番組「いいすぽ!」でMCを務める
バカリズムさん。CSチャンネル「フジテレビONE」で2016年4月に放映を開始したeスポーツ専門番組「いいすぽ!」でMCを務める
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 9月に開催された「東京ゲームショウ2017」でも各種エキシビションマッチが開催されるなど、eスポーツは確実にひとつのトレンドとして広まりつつある。フジテレビは国内のテレビ局としてはいち早くeスポーツを題材に番組を制作。それがCSチャンネル「フジテレビONE」で2016年4月に放映を開始したeスポーツ専門番組「いいすぽ!」だ。

 放映開始から1年半が経過した今秋、同番組はお台場を舞台にeスポーツのイベントを開催する。「Tokyo E-sports Festival」と銘打たれたこのイベントを、フジテレビは「お台場でのゲームイベントの風物詩にしたい」と意気込むが、開催のきっかけとなった「いいすぽ!」と併せ、魅力や見どころなどをMCを務めるバカリズムさん、プロデューサーの門澤清太さんにうかがった。

――バカリズムさんが「いいすぽ!」のMCを担当されることになった経緯を教えていただけますか?

門澤清太プロデューサー(以下、門澤): バカリズムさんとは過去にアイドル番組を担当させていただいた時期があり、当時は収録の合間などにずっとゲームの話ばかりしていました。そんなご縁があったものですから、2年くらい前にeスポーツの番組を制作すると決定したときには、もうバカリズムさんしか考えられなくて。

 バカリズムさんは非常に強いゲームへの愛情を抱きながら、eスポーツに対しては入れ込みすぎず、少し引いた視点で中立的なスタンスを保てる人だと思ったんです。お声がけしてみたところ、一発で色よいお返事がいただけました。

バカリズムさん(以下、バカリズム): 当時はeスポーツがそこまで熱いことになっているとはまったく知らなかったんですが、お話をうかがってすごく興味を持ちまして、「ぜひに」と引き受けさせていただきました。

――改めて「いいすぽ!」とはどんな番組か教えていただけますか?

バカリズム: 僕らが小さい頃はいくらゲームが上手でもあくまでも趣味の範囲で、やり過ぎると親に怒られたりしていました。ゲームを職業とする人も開発者などに限られていたわけですが、今やeスポーツのプレーヤーはまるでアスリートのような存在になっています。そんなスゴい人たちに集まっていただき、トーナメント制で頂上を決める番組が「いいすぽ!」です。

 僕もゲームの腕前に少しは自信があったんですが、皆さんそれぞれ各地の大会で成績を残されているようなかたばかりなので、レベルが違いますね。まさにゲームの頂上を見られる番組です。

門澤:どのゲームもたいてい8人にご出演いただいて、その頂点を決めます。生放送なので、時間が足らなかったり、逆に余ってしまったり、枠に収めるのが大変ですね(笑)。

バカリズム: 先日も優勝者がまさに圧倒的な強さで、決勝戦でもあっという間に決着がついてしまい、7~8分、トークで持たせる必要がありました(笑)。長引いたときを考慮して収録時間を決めているので、早く終わってしまったときのほうが苦労するんです。

まさに“ファミコン世代”だったバカリズムさん

――小さい頃からかなりのゲーマーだったそうですが、バカリズムさんのゲーム歴を教えていただけますか?

バカリズム: 駄菓子屋さんの店頭に置いてあった『ドンキーコング』や『パックマン』といったアーケードゲームで遊んだのが最初ですね。確か小学校1年のときにファミリーコンピューターが登場し、ビデオゲームが家庭で遊べるようになったときは、夢のようだと思いました。

 でも当時としてはかなり高いおもちゃでしたから、なかなか買ってもらえなくて、お金持ちな友だちの家に集まって遊ぶくらい。僕は絵を描くのが得意なので、ゲーム画面の絵を紙に描いてテレビに貼り、同じようにファミコン本体やコントローラーも絵にしてゲームで遊んだ気になってましたね(笑)。それくらいゲームに夢中だったんです。

 なんとか本体を買ってもらったあとも、ゲームソフトはなかなか買えず、当時あったレンタルショップをよく利用していました。でも当時はRPGなんかで遊んでもカセットのなかにデータを記録する方式だったじゃないですか? 終わらずに返すことになり、何日かして借り直したときにデータが上書きされていると、まるで彼女を別の男に寝取られたような、そんな寂しい感覚を小学生ながらに味わったりもしました(笑)。

 それ以降も多感な時期にゲームの進化をリアルタイムで見てきた世代なので、いろいろとゲームで味わった感動も多かったです。

――そうしたゲーム体験がこの「いいすぽ!」へとつながっているんですね。バカリズムさんから見たeスポーツの魅力はどこにあるのでしょうか?

バカリズム: 子供の頃とかに友だちの家に行って交代でゲームで遊んでいると、やっぱり自分でやりたくなってしまって友だちのプレーを見ていられなかったんですね。でも、「いいすぽ!」に出演してくれるようなeスポーツのプレーヤーレベルになると、ほかのプロスポーツと同じで見ているだけでも本当に楽しめますね。たまに展開が速すぎて何をやってるのか理解できないこともありますが(笑)。

フジがeスポーツのイベント テレビ局の強みを生かす(画像)
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日本のeスポーツの環境は遅れている

――世界的に見るとeスポーツはどんな状況にあるんでしょうか?

門澤: 韓国は国策としてeスポーツのプレーヤーを育成しようとしていますし、欧州ではドイツがやっぱり力を入れています。また、2024年のパリ五輪ではeスポーツが種目化される可能性も取り沙汰されていて、フランスでは関連の法整備が進められているとも聞きます。米国は大会の規模が大きくて、億単位の巨額の賞金が懸けられる大会もあったりします。

 そのように比べてみると、先進国のなかでは日本だけがeスポーツを取り巻く環境が少し出遅れている感はありますね。プロとして賞金をもらうことが法的に難しいこともあって、世界的なレベルのプレーヤーがいるにもかかわらず、日本のeスポーツはまだまだ未成熟な部分があるのが実情です。

――eスポーツを観戦者として楽しむうえでのポイントはどんなところでしょう?

門澤: まさに野球などと同じプロスポーツなので、テクニックやスピード感など、見てるだけで楽しめるのがeスポーツですね。もうひとつ見ていただきたいのは、出場プレーヤーの人となりですね。番組では各プレーヤーに密着して、普段の生活なども紹介しています。思わず応援したくなるようなお気に入りのプレーヤーが見つかると、見ている側も盛り上がるんです。

 バカリズムさんもそういう目線で見てくれているので、むちゃくちゃ“リア充”な人が出てきたりすると「負けないかな」なんて言ったりしますから(笑)。

バカリズム: やっぱり現実の世界ではあんまり勝ってないような人が、ゲームのなかでのし上がっていくのが痛快ですよね(笑)。

テレビ局の強みを生かしてイベントを盛り上げる

――もうすぐ開催となる「Tokyo E-sports Festival」とはどんなイベントなんでしょう? イベントの見どころを含めて教えてください。

門澤: eスポーツを軸に多様性のあるイベントを考えています。会場は1階屋外ステージ、1階屋内ステージ、22階フォーラムと、3カ所があるんですが、22階では「パワプロチャンピオンシップス東京大会」と題しまして、2日間にわたって野球ゲーム『実況パワフルプロ野球』、通称『パワプロ』の各種大会を開催します。

 また、1階では『New みんなのGOLF』の大会や、『グランツーリスモSPORT』のエキシビションレースなどを予定しています。そして一番の目玉企画が、「いいすぽ!」のMCであるバカリズムさんと、「ゲームセンターCX」という番組を10年以上続けていらっしゃるよゐこの「有野課長」による、お互いの番組の名を賭けた対決です。

バカリズム: 「5タイトルのレトロゲームで対決する」とは聞いているんですが、それがどんなタイトルなのかは当日まで極秘なんですよ。

門澤: 練習なしに地力で戦っていただこうと思ってるんです。それ以外にもアイドルのライブを織り交ぜたりして、アイドルファンの方にゲームに興味を抱いていただいたり、逆にゲームファンにアイドルを好きになってもらえたら、と。

 こうしたイベントの構成は実は海外も同じなんですよ。韓国でも韓流スターがたくさん出てきてライブをやったりして、新たなエンターテインメントとして多くの人にアピールしています。

バカリズム: それぞれのゲームイベントは、ほかの大会で実績があったり、予選を勝ち抜いてきたスゴ腕のプレーヤーが集結するので、プレー内容自体も相当レベルの高いものになるはずですが、解説をそれぞれの競技のプロの方が担当してくれるので、そこも見どころなんです。

門澤: 『New みんなのGOLF』では戸張捷さん、『グランツーリスモSPORT』は川井一仁さんや11歳のレーシングドライバー野田樹潤さん、『パワプロ』は岩本勉さんにそれぞれ出演や解説をお願いしています。

 また、MCとしてフジテレビのスポーツ中継を担当しているアナウンサーが出演することで、リアルなスポーツ中継との融合みたいなおもしろさが出るんじゃないかと期待しているんです。

 ゲームのイベントとしては初めてですけれど、スポーツ中継で培ったノウハウを生かしたり、中継番組とのクロスオーバーで解説者やアナウンサーが使えるのはテレビ局ならではの強みだと思っています。

――有野課長との対決も楽しみですね。意気込みなどを聞かせていただけますか?

バカリズム: 今まで有野さんは狭い会議室のなかで少人数のスタッフとほそぼそとゲームをやってきていたわけですが、僕は毎回、ハイレベルなプロのプレーを目の当たりにして学んでますし、反射神経やテクニックといったもともとのポテンシャルは僕のほうが高いですからね。

 明らかに有野課長のほうが経験値が高いゲームでなければ、どんなゲームになるとしても勝てると思うんですよね(笑)。(僕に)不安要素があるとしたら、古いゲーム機のコントローラーをしばらく触ってないことです。その点では、番組でレトロゲームを遊び続けている有野課長のほうが有利ですね。

 ただ、圧倒的に勝つのもいいですけど、テレビなんで、いかに盛り上がる戦いができるかを意識したいですね。

――心理戦の要素も大きそうですね(笑)。

バカリズム: 番組を10年以上も続けているだけあって「ゲームと言えば有野」みたいなポジションを守っていますから、有野さんは相当プレッシャーを感じているみたいですね。

 後輩の僕に負けて「あ、有野さんて、お笑い芸人のなかでのゲームの腕前はこの程度なんだ」と白日のもとにさらされてしまうのが恐いんでしょうね(笑)。

――最後に、まだ「いいすぽ!」を見たことのない読者、eスポーツをよく知らない読者に向けて、メッセージをいただけますか?

門澤: プロと呼ばれる人たちの登場で、ゲームがスポーツとして成立する新しい文化が生まれていることを、番組や今度のイベントを通じて多くの方に知っていただけるとうれしいですね。

バカリズム: ゲームが好きな人なら各タイトルの頂点に立つ人たちのプレーが見られますし、ゲームを知らない人、あんまりやったことがない人が見ても、まさにスポーツ感覚で楽しめるのがeスポーツです。遊んだことのないタイトルを遊んでみようという気になるくらいの魅力が味わえると思います。「いいすぽ!」を通じてゲームを楽しむ人が少しでも増えてくれたら素敵ですね。

「Tokyo E-sports Festival」は、11月18日、19日にフジテレビ本社屋で開催される。入場は無料
「Tokyo E-sports Festival」は、11月18日、19日にフジテレビ本社屋で開催される。入場は無料
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(構成/稲垣宗彦、写真/シバタススム)