メガネ屋ならではの“見やすさ”が強み

 b.g.の開発において、メガネを長年手掛けてきた企業としてこだわったのは「見え方」と「掛け心地」だった。これまでさまざまなメガネ型デバイスが主に産業用途向けに発売されてきたが、まだブレークしていない。その理由を、座安社長はメガネとして捉えたときの見え方や掛け心地が悪いことにあるとみている。

 「多くのメガネ型デバイスは表示が見づらい。メガネ型デバイスを使ったソリューションが高く評価されていても売れないのは、この見づらさや掛け心地の悪さにあるのではないか。そこに、われわれ“メガネ屋”が持つメガネ作りの技術や、“見る”ことに関するノウハウを活用できる余地があると思った」(座安社長)。

 見やすく掛け心地のいいメガネ型デバイスさえあれば、使用するときの障壁がなくなり、ソリューションの活用も増えるはず――そう考えたことが参入のきっかけになったという。

 見やすくするための具体的な工夫が、“両眼視”と“ノンシースルー型ディスプレー”だ。現行のメガネ型デバイスは、片側のレンズに映像を投影する仕組みが一般的だ。しかし人間は左右の目で見たものを脳内で処理して1つの像として捉えている。b.g.は同じ映像を左右の有機ELディスプレーに表示して両目で見るようにすることで、見やすさを改善した。

 加えて、ディスプレーを向こう側が透けていないノンシースルー型にすることで、明るい場所で見やすくした。現実と映像が重なって見えるAR(拡張現実)の表現はできないが、その分映像が見やすい。メガネ型デバイスとしては解像度の高い、XGA(1024×768ドット)のディスプレーを採用することで表示の精細さも確保した。

b.g.は、メガネのレンズの外側にディスプレーが付いている。左右それぞれの目でディスプレーを見ることで、見やすさを改善した
b.g.は、メガネのレンズの外側にディスプレーが付いている。左右それぞれの目でディスプレーを見ることで、見やすさを改善した
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b.g.で地図を見たときのイメージ。背景が自分の目で見ている街頭の景色、四角く表示された部分が液晶に映った画面。自分の目で見る景色とディスプレーの中の映像が重なるように見える(メガネスーパーの動画より)
b.g.で地図を見たときのイメージ。背景が自分の目で見ている街頭の景色、四角く表示された部分が液晶に映った画面。自分の目で見る景色とディスプレーの中の映像が重なるように見える(メガネスーパーの動画より)
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カメラとb.g.を連動させれば、見ている景色の一部だけを拡大して見るといったこともできる(メガネスーパーの動画より)
カメラとb.g.を連動させれば、見ている景色の一部だけを拡大して見るといったこともできる(メガネスーパーの動画より)
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 掛け心地を左右するデザインには、社内のデザイナーや福井県鯖江のメガネの技術者の知恵が生かされている。b.g.では、フレームにデバイス部分を脱着できる構成にした。着脱式にしたのは、生産効率と掛け心地の両面を考えてのことだ。

 デバイス部分は特定の種類のものを大量に生産。一方で、フレーム部分は、使い方などに合わせて多品種小ロットで作る。こうすることで、通常は一般的なメガネのフレームにデバイスを取り付け、工場内では防護用のゴーグルに付け替えるといったことが可能になる。また、かける人の顔の造形や大きさに合わせたフレームを選んでもらうこともできるだろう。「人によって目と目の距離なども違う。そうしたノウハウを持っているのは、メガネ屋ならでは」と座安社長は語る。