Scratchはソフトではなく、コミュニティとともにある学びのツール

――日本ではScratchは、プログラミングソフトであると考えられている場合が多いようです。しかしながら、Scratch Conferenceに来てみると、Scratchというのはこうした場に集う人々や、ソーシャルメディア機能を持つScratchのサイトを活用するユーザー、さらにはScratchを活用する先生方のコミュニティであるScratchEd、創造的な学びを支える考え方や手法を学ぶオンライン講座であるLearning Creative Learning(LCL)の参加者に支えられていることがわかります。このようにScratchを単なるプログラミングソフトではなく、エコシステムを形成するプログラミング環境として提供しているのはなぜですか。

レズニック氏:ユーザーのコミュニティについては、クリエイティブ・ラーニング・スパイラルや4つのPでその重要性を示したので、ここでは教育者のコミュニティについてお答えします。

 先に述べたように、4つのPの実践では、「目的の共有」とそれに基づいた「実践方法」が大切です。教える人を対象に、これらをサポートしていくためは、「このようにしなさい」というように、一方的に伝えるだけではだめだと思っています。教育者へのサポートも学習プロセスのひとつと捉えられますよね。その学習プロセスは、子どもたちに学んでもらうときと同様、ステップ1、ステップ2、ステップ3というように手順を伝えるだけではいけません。

 学習プロセスは、教える人にとっても、ずっと続いていくものです。新しいアプローチや実践方法に継続して取り組んで学習プロセスを改善していくためには、そのように教育者をサポートしていかなければなりません。

Scratchは創造的に学ぶためのツールだ(画像)
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 そのやり方はいろいろあります。書籍『ライフロング・キンダーガーテン』を発行したのもサポートの一つですし、ScratchEdやLCLもそうです。これらは、ずっと続いていく(教育者の)学びのプロセスをサポートしていくためのツールなのです。来たる10月20日に日本で開かれるScratch 2018 Tokyoもそうしたツールの一つといえるでしょう。