成長分野に2つの懸念材料

 最後に懸念材料を2つだけ挙げておく。

 一つは、女性向けゲームを展示する「ロマンスゲームコーナー」に元気がなかったこと。ゲーム売り場に女児向けゲームコーナーがあり、スマホ向けを中心に大人の女性のためのゲームも充実していることは、日本ゲーム界が誇る文化である。その到達点の一つであるロマンスゲームコーナーは、毎年のように海外メディアからも注目されていたのだが、今年はまるで元気がなかった。

 女性向けゲームが、ジャンルとしての知名度を既に得たために、大々的に出展する必要がなくなったという判断もできるだろうが、年に1度のゲームのお祭りの場において「元気がない」という印象を残してしまったことは、あまりにも残念。ぜひとも来年以降の盛り上がりに期待したい。

 もう一つは、eスポーツのステージで感じた違和感だ。どのステージも盛況であり、それ自体は喜ばしいことだったのだが、熱心なファン以外は目を向けていない傾向が感じられたことを、ささやかながら指摘しておきたい。

 例えば、会場での実況アナウンスだ。「この攻撃は、“やみ”での“たてわり”で“ささる”かがポイントです!!」といった、専門用語が頻出していたのだ。TGSは、特定のゲームのファンだけが訪れる場ではないのだから、ここは「闇の属性による攻撃で敵の防御を破って(盾を割って)ダメージを与えられるかどうかですね」といった、より丁寧な実況が必要だっただろう。

 一般的なスポーツ中継の場合、熱心なファンが視聴するBS/CS放送では専門用語を使い、地上波放送では初心者でも分かるような解説をする、といった使い分けが一般化している。eスポーツも、これから広く普及していくにあたり、そんな改善が急務であることをひしひしと感じた。

eスポーツの大会は、それぞれが盛況だったからこそ、より広く普及させるための改善点が見えてきたといえる。写真は「パズドラチャンピオンシップ TOKYO GAME SHOW 2018」(写真/小林伸)
eスポーツの大会は、それぞれが盛況だったからこそ、より広く普及させるための改善点が見えてきたといえる。写真は「パズドラチャンピオンシップ TOKYO GAME SHOW 2018」(写真/小林伸)
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野安ゆきお(のやす・ゆきお)
野安ゆきお(のやす・ゆきお) ファミコン時代からゲームライターとして活動開始。プレイしたゲームの本数は1000本を超える。ゲーム雑誌記事執筆の他、100冊を超える攻略本を編集・執筆。現在はフリーランスのゲームジャーナリストとして活動中。子供のころ海外を転々とした経歴があるため、異文化に馴染むのが得意。1968年東京生まれ

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