ゲーム業界の潮流は、「VR」と「e-Sports(eスポーツ)」――。2017年9月21日に開幕した東京ゲームショウ2017(TGS2017)(9月21~22日はビジネスデイ、23~24日は一般公開日)では、そう印象付ける展示が相次いだ。

 TGSはゲーム業界の世界最大級の展示会で、昨年は27万超の来場者数を記録した。今年のTGSでは、2016年に続いてVR(バーチャルリアリティー)ゲームが大きなトピックになっている。さらに、「e-Sports(eスポーツ)」が盛り上がりを見せた。

 eスポーツでは、対戦型ゲームなどの勝敗を公開競技としてプレーヤーたちが競い、その様子を観客が見て楽しむ。今年のTGSでは、基調講演のテーマにeスポーツを据えたことに加えて、「eスポーツコーナー」内のステージを大幅に刷新。人気ゲームの大会を実施し、ネット動画配信と併せてより多くの人にeスポーツをアピールしていた。

eスポーツコーナー。盛り上がりを見せるのは、9月23~24日の一般公開日である
eスポーツコーナー。盛り上がりを見せるのは、9月23~24日の一般公開日である
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SIEはPS VRを値下げ

 VRに関しては、2016年のTGSで新設した「VRコーナー」を、今年は「VR/ARコーナー」に改称。同コーナーには5つの国・地域から45社が出展。TGS2017全体でのVR分野の出展タイトル数は117タイトルと昨年の110を超えた。

VR/ARコーナーの様子
VR/ARコーナーの様子
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 VR用ヘッドマウントディスプレー(HMD)として順調に売れているのが、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の「PlayStation(PS) VR」である。2017年11月の発売以来、2017年6月時点で累計実売台数は100万台を突破している。TGS2017開催に合わせて、PS VRとポジショントラッキング(位置追跡)用のカメラをセットにした同梱版を5000円値下げして、2017年10月14日から希望小売価格4万4980円(税別)にすることを発表。今回の値下げで普及を加速させる姿勢を見せた。あわせて、品薄が続くPS VRの増産体制を敷く。

 SIEのブースには、PS VR向け新作ゲームを試遊できる専用スペースを設けてアピールしていた。例えば、人気レースゲームシリーズの最新作『グランツーリスモSPORT』をプレーできる。

SIEブース内のPS VR体験スペース
SIEブース内のPS VR体験スペース
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『グランツーリスモSPORT』をPS VRで体験可能
『グランツーリスモSPORT』をPS VRで体験可能
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「からあげ」や「ハンバーグ」の匂いを再現

 VR/ARコーナーでは、台湾HTC社がひときわ大きなブースを構え、同社のHMD「Vive」をアピールしていた。同コーナーでは、HMDと組み合わせる周辺機器も多数展示した。

HTC社のブース
HTC社のブース
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 中でも異彩を放つのが、VRコンテンツに連動して「匂い」を放つ中国VAQSO社の周辺機器「VAQSO VR」である。microUSBでHMDと接続し、HMDの底面部に取り付ける。「カートリッジ」を交換することで、さまざまな匂いを実現する。同社のブースでは、さまざまな匂いを体験できるようにしていた。例えばからあげやハンバーグの匂いを嗅ぐことができた。

 VAQSO VRは2018年初旬に製品化予定で、標準カートリッジを数種類ほど用意するほか、目的に応じた匂いカートリッジのカスタム品を提供できるという。

「VAQSO VR」を底面側に取り付けたHMD「IDEALENS K2+」
「VAQSO VR」を底面側に取り付けたHMD「IDEALENS K2+」
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筋肉の変位で操作

 筋肉の変位でVRコンテンツを操作する腕輪型コントローラーと、スマートフォンを差し込んで利用する簡易型HMD(VRゴーグル)をセットにした「FIRST VR」を出展したのはH2L(本社・東京)である。

「FIRST VR」を出展
「FIRST VR」を出展
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 腕輪型コントローラーでは、光学式の筋変位センサーが前腕周囲の筋肉の動き(膨らみ)を検出する。H2Lはもともと、入力側で用いる筋変位センサーと、出力側として筋電刺激(EMS)で触覚をフィードバックする機能を備えた腕輪型コントローラー「UnlimitedHand」を手掛けてきた。

 このコントローラーからEMSによる触覚フィードバック機能を省き、安価にしたのがFIRST VRのコントローラーである。フィードバックは、振動バイブレーターで行う。

 2017年12月に先行発売するバージョンは8980円(税込)で、2018年4月に一般販売する際の価格は9980円(税込)である。

VRコンテンツの制作スキルが向上

 これまで、VR用HMDなど、ハードウエアが先行した感は否めなかった。だが、VR用HMDが次々と登場した「VR元年」とされた2016年から約1年が経過し、VRゲームの種類や数も増加傾向にある。

 その理由の1つとして、ゲーム制作者の「スキル向上」がある。VR空間で女性キャラとコミュニケーションを取れるPS VR用ゲーム『サマーレッスン』を手掛けた、バンダイナムコエンターテインメントの原田勝弘氏は、TGS内の同社のイベントに登壇し、「PS VRが(2016年11月に)発売されてからおよそ1年。我々のVRコンテンツを作るスキルは上がった。VR業界全体でも、スキルが向上している」と語った。それだけに、2018年のTGSではより多彩なVRコンテンツの登場を期待できそうだ。

『サマーレッスン』のイベントに登壇するバンダイナムコエンターテインメントの原田氏(写真/中村宏)
『サマーレッスン』のイベントに登壇するバンダイナムコエンターテインメントの原田氏(写真/中村宏)
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『サマーレッスン』のイベントの一幕(写真/中村宏)
『サマーレッスン』のイベントの一幕(写真/中村宏)
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(文/根津 禎=日経テクノロジーオンライン)