環境整備も着々と進む

 市場拡大を受け、次はビジネスとして収益化をしっかり検討する必要があると訴える。Heuvel氏は「eスポーツは、インターネット経由での視聴者が増えている。Netflixなどのストリーミング会社へ放映権を販売するだけでなく、ファンになった視聴者から直接寄付を得たり、視聴の際にカメラの角度を変えるといったプレミアムに対して課金する方向を考える必要がある」とした。

 Nate Nanzer氏は、プレーヤー側の環境整備の必要性も訴える。「eスポーツの拡大には、ゲームが文化の1つになるべく、プレーヤーがファンの模範にならなければならない。さらに、プレーヤーがプロとして活躍できるよう、賞金以外に最低賃金を保証したり、退職金や保険をしっかり用意するなどし、待遇を改善する必要もある」とも述べる。

 国内でeスポーツのイベントを手がけるCyberZの大友真吾氏は、「この1年半ほどで、日本で開催したイベントでも来場者と視聴者が増えている」と確実な手応えを感じ取っていた。だが、「さらなる市場拡大を狙うには、プロ野球やJリーグのように憧れとなるスター選手を生み出す必要があるだろう。もちろん、プロとしての意識を持たなければスターにはなれない。昨今は、SNSでの振る舞いに助言することも多い」と課題も述べる。

CyberZが国内で開催するeスポーツイベント「RAGE」は、この1年半ちょっとで来場者とインターネットでの視聴者が大幅に増えたという
CyberZが国内で開催するeスポーツイベント「RAGE」は、この1年半ちょっとで来場者とインターネットでの視聴者が大幅に増えたという
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 基調講演のモデレーターを務めた日経テクノロジーオンラインの山田剛良副編集長は、「国内でもeスポーツのイベントは徐々に増えており、EVO Japanのような海外で人気を集めるイベントの日本版も開かれるようになった。イベントの動員数も右肩上がりで増えており、eスポーツのイベントをやると告知すれば人が集まる」と述べる。「その状況をさらに加速すべく、eスポーツを日本で広めるために必要な活動をしている3団体を統合し、選手の育成や地位向上などをさらに推進することになった」と、eスポーツを後押しする環境整備も着々と進みつつあることを述べた。

各社が開催するeスポーツイベントも、着実に来場者を増やしている
各社が開催するeスポーツイベントも、着実に来場者を増やしている
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 2022年に中国の杭州にて開かれるスポーツ競技イベント「アジア競技大会」において、eスポーツが正式種目として登録されることが決定。大友氏は「腕利きのプレーヤーを日本選手団として送り出したいと考えている」と熱い期待を寄せる。

(文/磯 修、写真/シバタススム)