9月16日、千葉・幕張メッセで開催中の「東京ゲームショウ 2016」のイベントステージで、世界を視野に入れたゲームビジネスのあり方をテーマにしたセミナー「グローバル・ゲーム・ビジネス・サミット 2016」が開催された。
これは、昨年までの「アジア・ゲーム・ビジネス・サミット」が規模を拡大したもので、第1回のテーマは「グローバル・ゲーム市場の行方」。パネリストは、Electronic Arts(米国)の牧田和也氏、AbyLight Studio(スペイン)のEva Gasper氏、Asiasoft Online(タイ)のPramoth Sudjitporn氏、Tencent Japan(中国)のJulien Vig氏、バンダイナムコエンターテインメント(日本)の冷泉弘隆氏の5人。また、SMBC日興証券のシニアアナリスト・前田栄二氏をコメンテーターに迎え、司会進行は日経BPの品田英雄が務めた。
今回、品田が用意したお題は「ゲーム産業は全世界で拡大しているのか」「ゲーム会社にとってベストなポートフォリオは?」「ゲームタイトルの多様性は維持できるのか」「VR、ARの可能性」「ゲームビジネスで注目している国・地域は? その理由は?」など。それぞれのお題についてパネリストたちの回答をまとめると、以下のことが見えてきた。
○中国・東南アジア市場ではコンソール(ゲーム機)よりもモバイル向けが強い。日本、欧米でも同様の傾向があるが、南米や北欧、中東などにはまだ伸びしろがある。
○コンソール、モバイルに限らず、ゲーム会社は、あらゆるジャンル、プラットフォームに対応できるようにしておくべき。
○映画やファッション同様、ゲームにもトレンドがある。人気作品のシリーズものは収益を予測しやすいので、どうしても偏る。とはいえ、新しいものに挑戦していく努力は欠かせない。
○VR、ARは一時的な流行というものではない。他の業界からも注目されている技術なので、他業界を巻き込んでゲーム業界を盛り上げていきたい。
○人口の点で中国は当然、東南アジア諸国の人口も中国の半分近い。南米、中東、アフリカは未知数ながらポテンシャルを秘めている。逆に人口は多くてもインドでの展開は難しいかもしれない。
北米、欧州、東南アジア、中国、日本と、世界各地のゲーム会社トップが一堂に会したこのイベント、会場はほぼ満席で、熱心にメモを取る参加者も多かった。
(文/堀井塚高、写真/中村宏)