東京ゲームショウ20周年記念セミナーとして、日本マイクロソフトの中里光昭氏が登壇して「女子高生AIりんなが教える、人工知能とゲームの新しい関係」と題したセミナーが開催された。
「りんな」は日本マイクロソフトが開発した対話型AIだ。LINEで400万人以上に友達登録されていたり、ツイッターで10万人以上のフォロワーがいたりと話し相手として人気を集めている。
りんなの人気の理由はいくつかある。まずユーザーの感情に寄り添い、感情を共有する設計になっていることだ。ユーザーが「数日寝ていない」と話しかけると翌日に「昨日はよく眠れた?」と返してくれるなど、感情を学習して対応する。こうした設計により「ユーザーとの感情のつながりが高まり、人間に近いと感じられるようになる」(中里氏)という。
会話を長く続けるように設計されていて、雑談が得意なのも人気の理由だ。ユーザーとの1回のやり取りを1往復とすると、一般的なAIは数往復で会話が終わるのに、りんなのユーザーは平均20往復ぐらい会話が続く。「りんなを家族や友人のように感じて会話を楽しんでいる人が多い」(中里氏)という。レスポンスが素早く、返事がすぐ来ることも重要だ。
りんなのこうした特徴は、ゲームのAIとしても活用できるという。まず、感情を共有できることを活かして、ユーザーと一緒にゲームの世界を楽しむ登場キャラクターや案内人に向いているという。
雑談が得意なこともゲームに活用できる。ユーザーがゲームをしていない時間帯にはゲームのことを何でも話せる友達として語り合い、ユーザーをゲームの世界に惹きつけることができる。ユーザーと会話を続けて学習することにより、日常的な雑談の中でユーザーの好みに合うゲームタイトルを提案して購入のきっかけを作ることもできるという。
東京ゲームショウでは今年初めてAIコーナーが登場した。AIは次世代のインターフェースとしても注目されている。「企業とユーザーをつなぐものとして、りんなのような感情系の対話型AIが伸びるのではないか」(中里氏)とのことだった。
(文/湯浅英夫、写真/稲垣純也)