東京ゲームショウ史上最多となる37の国や地域から企業が参加し、よりいっそうの国際化が進んだ今年。それらの企業には米国や欧州などの大手ゲーム会社も含まれているが、数として見れば小規模のブースを出展する企業が多くを占めている。そうした企業は一体、遠い異国の地で開催される東京ゲームショウに、何を目的として出展しているのだろうか。
まずは、日本にも多くの企業が進出している韓国の企業が集結している、韓国コンテンツ振興院の「韓国パビリオン」で話を聞いてみた。ここには46の韓国ゲームメーカーが参加しており、それぞれが商談用の小さなブースを構えている。
韓国のゲーム会社は元々PCのオンラインゲームで注目されていたが、今回参加しているメーカーはすべてスマートフォン向けのゲームを開発する企業なのだとか。韓国でもスマートフォンゲームの人気が高い上、RPGやパズルが人気であるなど日本とゲームの嗜好が近いことから、スマートフォンゲームで日本進出を目指す韓国企業が多いようだ。それゆえ東京ゲームショウに参加する目的も、やはり日本進出のためのパートナーを探す目的が大きいのだという。
続いては、台湾貿易センターが展開している「台湾ゲーム館」。ここには18の台湾企業が参加しており、ゲーム開発会社のほか、グラフィック制作会社、さらにはVR関連の企業もあるとのことだ。
関係者に話を聞いたところ、こちらに参加している企業は韓国とは異なり、自社のゲームで日本進出をはかるわけではないとのこと。日本のゲーム会社などからゲーム開発やCGの受託開発を受けることを目的として出展している企業が多いのだそうだ。一方で、参加する企業の多くはスマートフォンのゲームアプリを開発する企業とのことで、モバイルが主流となっている点は韓国と共通しているようだ。
もっとも韓国や台湾はゲーム産業がある程度成熟しており、日本での実績も豊富なことから、出展自体は珍しいものではない。ではゲーム産業がまだ成熟していない国や地域の企業は、どのような目的でゲームショウに参加しているのだろうか。東南アジア諸国の企業が集う「アジアニュースターズコーナー」を訪れて話を聞いてみた。
東南アジアではITやゲームなどの産業が盛り上がる
このコーナーに参加している企業の多くを後押しし、ASEAN加盟国との貿易促進を進めている日本アセアンセンターの関係者によると、東南アジアでは近年、ITやゲームなどの産業が盛り上がりを見せており、2010年頃から日本企業とのビジネスに関する要望が上がっていたとのこと。そこで日本アセアンセンターでは、4年前より東京ゲームショウへの出展を実施しているとのことだ。
日本アセアンセンターのサポートによって出展しているのは、インドネシアやタイ、ベトナムなど6カ国の企業。国によって出展する企業は違ってくるそうで、インドネシアの企業はアニメーション制作会社、フィリピンはベンチャー企業、ベトナムは商社などが多いのだという。中でもタイやシンガポールは技術的に進んでいる企業が多く、VRを手掛ける企業などもあるようだ。
とはいえ、ゲーム産業としてはこれからの国が多いことから、やはり日本のゲーム会社からの受託開発や、日本のゲームのパブリッシング権獲得などが出展の主な目的となるようだ。中にはミャンマーのように、自社のIT産業育成のため毎年出展している所もあるそうで、ASEAN諸国がゲーム産業に対していかに熱心に取り組んでいるかが理解できる。
ここまでアジア各国の企業の出展動向を紹介したが、それ以外の国々の企業は、どのような目的でゲームショウに出展しているのだろうか。ラテンアメリカ・東欧の企業動向は別記事にて取り上げたい。
(文・写真/佐野正弘)