欧州のIoTサービスは無料から月額有料に移行

 ドイツでは日本よりも先に「Google Home」や「Amazon Echo」が発売されていたこともあって、IoTデバイスも日本より早く立ち上がっていた。メディア・マルクトやサターンなどドイツを代表する家電量販店を訪れると、スマートスピーカーのそばにさまざまな種類のIoTデバイスが並ぶ。IFAにも毎年IoTデバイスを開発・販売しているメーカーが所狭しと軒を連ねているが、これだけ多種多様な製品がそろっても、スマホやイヤホン/ヘッドホンのように売れまくっている気配はない。店頭のIoTデバイスコーナーに大勢の客が詰めかけている様子も目にしたことがない。メーカーはどのようにもうけているのか。

 昨年のIFAでは、スマート家電を手がけるメーカーの担当者から「IoTデバイスを売った後にクラウドサービスの利用料金で稼ぐようなビジネスモデルは欧州にない」という話を聞いた。だが今年調べてみると、大手携帯キャリアがサブスクリプション型のスマートホームサービスを提供していたことが分かった。

 一つはドイツで最大手の携帯キャリアT-Mobile。「Magenta(マゲンタ)」というネットワークサービスのブランドを立ち上げ、外部に生産委託したさまざまなIoTデバイスをT-Mobileの冠を付けて売っている。これらのデバイスの利用にはT-Mobileの回線契約と139ユーロ(約1万8000円)のスマートハブの購入が必須。月額4.95ユーロ(約640円)の利用料金がかかり、違約金がかかる2年縛りの契約を結ばなければならない。代わりに製品のセットアップや故障の面倒はT-Mobileがしっかり見るという契約内容になるようだ。今年はついに専用のスマートスピーカーも開発したほど気合が入っている。

ドイツの大手通信キャリアであるT-Mobileはスマートホーム向けのサービスの宣伝にも力を入れ始めた
ドイツの大手通信キャリアであるT-Mobileはスマートホーム向けのサービスの宣伝にも力を入れ始めた
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T-Mobileのサービスが用意するIoTデバイスとAIアシスタントを搭載したスマートスピーカー
T-Mobileのサービスが用意するIoTデバイスとAIアシスタントを搭載したスマートスピーカー
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IFAに見る欧州の家電のトレンド 快眠促すデバイスが続々(画像)
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 もう一つは韓国サムスン電子と英ボーダフォンがタッグを組んだ「V-Home」のサービス。サムスンは2014年に米国のSmartThingsを買収して以来、スマートホームとIoT向けのクラウドサービスを整えながら欧米で展開をしてきた。欧州でもSmartThings対応のIoTデバイスやアプリなどが既に販売されている。ドイツではメインの用途提案を分けた複数のスターターキットを買い切りの商品として販売。併せてボーダフォンのネットワークを使う月額9.99ユーロ(約1300円)の定額サブスクリプションサービスの販売が始まっている。

 必要なIoTデバイスをそろえて、DIYで格安導入する道筋は引き続き選べるものの、やはり機器の売り上げによる収入だけではメーカーも立ち行かなくなったということだろう。通信事業者のほかにもいろいろなタイプのサービス事業者がスマートホームの立ち上げに力を入れているのかもしれない。また欧州を訪れる機会があったらぜひ調べてみたいと思う。

サムスンのブースにはSmartThingsのデバイスとクラウドサービスによるスマートホームの特設展示スペースが設けられた
サムスンのブースにはSmartThingsのデバイスとクラウドサービスによるスマートホームの特設展示スペースが設けられた
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SmartThingsのWi-Fiルーターハブ
SmartThingsのWi-Fiルーターハブ
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SmartThingsのIoTデバイス
SmartThingsのIoTデバイス
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SmartThingsのWi-FiルーターハブとIoTデバイスをパッケージにした「V-Home」はボーダフォンが取り扱っている
SmartThingsのWi-FiルーターハブとIoTデバイスをパッケージにした「V-Home」はボーダフォンが取り扱っている
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山本敦(やまもと・あつし)
山本敦(やまもと・あつし) ジャーナリスト兼ライター。オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。ハイレゾやAI・IoTに関わるスマートオーディオ、4KやVODまで幅広いカテゴリーに精通する。堪能な英語と仏語を活かし、国内から海外までイベントの取材、開発者へのインタビューを数多くこなす