睡眠サポートデバイスが増加
日本では先日、ボーズが“音楽が聴けないイヤホン”を発売して話題を呼んだ。“スマート耳栓”とも呼ぶべき「BOSE NOISE-MASKING SLEEPBUDS」のことである(関連記事:騒音を消して入眠を助ける ボーズの新感覚イヤホン)。本機とはまた違うアプローチから開発された睡眠支援用のスマート家電が今年のIFAで人目を引いていた。
その中の一つがフランスのパリを拠点とするスタートアップ、DREEMがIFA NEXTに出展したデバイスだ。会社と同じ「DREEM」と名付けられた同社の最初のプロダクトで、オンラインサイトでは499ユーロ(約6万5000円)で販売を開始している。
2014年にパリの大学で脳科学や電気工学を学んだ学生たちが集って立ち上げたという同社の製品は、見た目はヘッドギアのようだ。本体に搭載する電極と脈拍センサー、加速度センサーなどからユーザーの生体情報を得て解析、眠りのステージを段階的に識別する。ユーザーが最も深く眠っている“ディープスリープ”の状態をできる限り長く維持させて、良い眠りを提供するためのデバイスである。
眠っている間はDREEMが独自のメディテーション(瞑想)用音源を鳴らし、「眠ることに集中」させてくれるという。イヤホンタイプのデバイスと違い、ヘッドギアを肌に密着させた状態で本体に搭載した骨伝導素子を振動させ、音を伝えるところに特徴がある。つまりイヤホンのように耳から外れて音が途切れることがない。毎晩の睡眠の成果はヘッドギアにペアリングしたスマホアプリで記録する。眠りに関連するコーチングサービスも提供するそうだ。
ちなみに睡眠支援といえば欧州最大級の総合家電ブランドであるフィリップスも力を入れている。フィリップスはIFAに毎年単独で大型のブースを出展しており、今年は新製品の「SmartSleep」を発表した。
本機もヘッドギア形のスマートデバイスで、頭に装着して使う。「ユーザーのディープスリープを維持すること」に主眼を置いている点はDREEMとよく似ている。電極で脳波を拾い、ユーザーがディープスリープに到達したことを判別。右耳だけに装着するイヤホンのようなアクチュエーターで心地よい眠りを維持するための小さな音を発生させ、心地よく眠れる環境をつくる。
また朝に心地よく目覚められるように、太陽光と同じ色合いや明るさの光を枕元で再現するスマートLEDライト「Somneo」も展示していた。